「逆鱗に触れる」の「逆鱗」は竜の体のどこにある? 2024年の干支「辰」にまつわる言い伝え

社会

「逆鱗に触れる」の「逆鱗」は竜の体のどこにある? 2024年の干支「辰」にまつわる言い伝え(Hint-Pot 公開日:2024.01.01 更新日:2024.01.01)

著者:鶴丸和子

2024年の干支は「甲辰(きのえたつ)」、辰年。十二支の動物に当てはめると竜になり、12種の動物のなかでは唯一、想像上の動物です。しかし、昔の人は特別なときに出現する縁起の良い生き物として存在を信じ、竜にまつわるさまざまな話を伝えてきました。日本古来の伝承や風習、先人の知恵など諸説に着目するこの連載。今回は2024年にちなみ、竜にまつわる言い伝えやことわざについて紹介します。

竜は想像上の動物 権力や隆盛の象徴

「辰」とは、本来「子」から始まる十二支の5番目をいいます。もともとは月や時刻、方位などを示すためにも使われていたものです。たとえば「辰の刻」は午前8時を中心とする前後2時間(午前7時~9時)をいい、「辰の方角」といえば東南東を指します。また、辰は「ふるう、ととのう」という「振」に通じ、辰年は「陽気が動いて、万物が振動しながら活力旺盛になって大きく成長する年」と考えられてきました。

その辰年の動物にあたる竜は、権力や隆盛の象徴として言い継がれています。古代中国の神話では、竜を「神獣」として皇帝のシンボルとしました。「登竜門」とは、出世や成功のための関門を意味する言葉。その由来は、中国黄河の急流「竜門」に集まるたくさんのコイのうち、滝を昇ることができたコイが竜になるとの言い伝えにあるようです。

竜は、四神(青竜、朱雀、白虎、玄武)のひとつと信じられてきました。ふだんは水の中に棲み、ときには嵐や雷雲を呼ぶ不思議な力を発揮し、竜巻となって天に駆け昇るといわれています。

竜の弱点は逆さの「ウロコ」 触ってはいけない!

竜の姿は、「竜に九似あり」といわれるように、体の各部が9種の動物に似ているとされています。一般的に角は「シカ」、頭は「ラクダ」、目は「鬼」、項(うなじ)は「ヘビ」、腹は伝説の生き物「蜃(みずち)」、ウロコは「魚」、爪は「タカ」、手のひらは「トラ」、耳は「牛」。加えて、口元に長いヒゲがあるのも特徴です。

本来、竜は悠然とした穏やかな動物とされていますが、1か所だけ弱点があり、触れられると激怒して触った者を殺めてしまうという言い伝えがあります。それは、アゴの下に1枚だけ逆さに生えたウロコ「逆鱗(げきりん)」です。このことから故事成語「逆鱗に触れる」が生まれ、「目上の人を怒らせてしまう」意味で用いられるようになりました。

竜にまつわることわざは、ほかにもあります。「逆鱗」以外にも、近寄って触れようとすると危険を伴うといった意味がいくつかあります。

竜の頷の珠を取る(りゅうのあぎとのたまをとる)

竜は、アゴの下に宝玉を隠し持っているとされ、それを取ろうとするのは危険なことだという意味。目的のために非常な危険を冒すこと。

竜の鬚を撫でる(りゅうのひげをなでる)

極めて危険なことをするというたとえ。「竜の鬚を撫で虎の尾を踏む」ともいいます。

竜の髭を蟻が狙う(りゅうのひげをありがねらう)

自分の力が弱いことを省みず、身のほどを考えないで強い相手に立ち向かおうとすることのたとえ。

辰年の2024年。逆鱗に触れるようなことなく、平穏な一年になりますように。

【画像】触ってはいけない! 竜の「逆鱗」とはどこ?

【画像】触ってはいけない! 竜の「逆鱗」とはどこ? 「竜に九似あり」といわれる9種の動物と部位

鶴丸 和子(つるまる・かずこ)
和文化・暦研究家。留学先の英国で、社会言語・文化学を学んだのをきっかけに“逆輸入”で日本文化の豊かさを再認識。習わしや食事、季節に寄り添う心、言葉の奥ゆかしさなど和の文化に詰まった古の知恵を、今の暮らしに取り入れる秘訣を発信。
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