トラブル続き大阪万博 岸田首相vs.吉村知事「責任押しつけ」大戦争! 本誌独自アンケに参加国からも困惑の声が

万博招致を“成果”として誇示し続けてきた吉村知事だが、ここにきて岸田首相に責任を押しつけはじめた 政治・経済

トラブル続き大阪万博 岸田首相vs.吉村知事「責任押しつけ」大戦争! 本誌独自アンケに参加国からも困惑の声が(FLASH編集部 投稿日:2023.08.24 06:00)

「勇気ある撤退という選択肢も残しておくべきではないか」

自身のメールマガジンで、こう指摘したのは自民党の船田元衆院議員だ。

開催まで1年8カ月――。2025年の大阪・関西万博が、絶体絶命の危機にある。

「いちばんの問題は、工事が遅々として進まないことです。万博の目玉は、タイプAと呼ばれる、世界各国が独自に建設するパビリオン。60カ国が56個のパビリオンを建設する予定です。しかし、8月8日時点で、建設に必要な大阪市への基本計画書を出したのは2カ国。建設事業者が決まった国すら、カナダやオーストラリアなど6カ国のみです」(社会部記者)

冒頭のとおり、政界内からも“撤退”の声が上がるこの事態に、参加国は何を思うのか。本誌は、参加予定の約150カ国の大使館にアンケートを実施。進行が遅れていることについて尋ねると、万博の混乱ぶりを表わす回答が返ってきた。

すでに建設業者が決まっているベルギーは「すべてが計画どおりに進んでいます」としつつも「タイトなスケジュールであることは承知しております」と回答したが、米国は「回答できるだけの情報がない」。独自建設ではないタイプBで参加するカンボジアは「万博全体の進行が遅れているという情報や通知は受け取っていない」と回答した。

2018年に開催地として選出されてから約5年。なぜここにきて遅れが目立っているのか。

「電通に運営を“丸投げ”できなくなったことが原因ですよ。各国に建設業者を紹介したり、建築許可申請の案内をするなど、事細かな調整をする能力は、万博協会にはありません。これほど大きな国際的イベントを運営するノウハウを持つのは電通だけでしょう。しかし、東京五輪の談合事件を受け、電通は1年間の指名停止処分を受けています。残された“素人集団”があわてているという状況です」(大手広告代理店関係者)

工事が始まってからも、問題が頻発する可能性がある。

「会場となる夢洲(ゆめしま)は埋め立て地なので、地盤が緩すぎるんですよ。たとえば同じ埋め立て地の関西国際空港では、埋め立てを終えてから1年で6mも地盤が下がりました。夢洲の会場の埋め立て工事を終えたのがこの春なので、開催までに地盤がまだまだ下がる可能性があります。

さらに、事前の計画では地盤の弱さをカバーするために、パビリオンの下に平均50mの杭を打ち、万博を終えたら杭を抜くことになっています。これはかなり大がかりなもので、撤去を含め費用がかさみます。建設業者が及び腰になるのも納得できますよ。現場の状況を知らない参加国が、この地盤についてきちんと把握し、デザインできているのか不安です」(建築エコノミスト・森山高至氏)

一方、問題だらけの万博をめぐり、トップの間では責任の押しつけ合いが始まっている。

「7月25日に開かれた全国知事会で、吉村洋文大阪府知事は『万博は国家プロジェクト』と声高に叫び、失敗したときに備えて、国に責任を押しつけられるように動きだしました。一方、岸田文雄首相も“君子危うきに近寄らず”。今年は会場の視察を茂木敏充幹事長にまかせ、なるべく万博から距離を置こうとしてます」(政治部記者)

さらに、“逃げ恥”を選ぶ政治家まで出てきたようだ。当の岡田直樹万博担当大臣だ。

「岡田大臣は森喜朗元首相と同じ石川県出身で、子飼い中の子飼い議員です。岸田首相が組閣するにあたり、森元首相は、かわいい“子分”に花を持たせるべく、万博担当大臣に押し込んできたという経緯があるんです。しかし、暗雲が立ちこめると、今度は秋の内閣改造で、岡田大臣を担当から外してやってほしいと岸田首相に迫っているそうです。さすがの岸田首相も、森元首相を無下にはできませんから、困っています」(自民党関係者)

政治家たちのあまりに醜い責任の“なすりつけ合い戦争”。政治アナリストの伊藤惇夫氏は、今回ばかりは岸田首相に同情的だ。

「大阪・関西万博は、松井一郎氏や橋下徹氏ら維新の会の歴代トップが、安倍晋三‐菅義偉政権に頼み込んで、ここまで来ているわけです。岸田首相にしてみれば『オレは関係ないよ』という思いでしょう。要するに、大阪維新の会が強烈に推し進めたものですから、吉村知事が責任逃れをするのはおかしな話です。私も地元財界人から、大阪でもあきらめムードが流れていると聞いています。規模を縮小するなどして無理に開催しても、期待外れに終わる可能性が高そうですね」

万博成功に“ミャク”はなさそうだ。

( 週刊FLASH 2023年9月5日号 )