「勝共連合」改憲案 自民とうり二つ

国際勝共連合大学生遊説隊UNITE 政治・経済

「勝共連合」改憲案 自民とうり二つ(しんぶん赤旗 2022年7月24日(日))より抜粋

勝共連合が改憲の優先課題として掲げる(1)緊急事態条項の創設(2)家族条項の創設(3)9条への自衛隊明記―は、いずれも自民党の改憲案と全く同じです。勝共連合が、日本会議勢力と並んで、自民党の改憲路線を強く後押ししている実態が浮かび上がります。

緊急事態条項・・国会の権限を内閣独占

緊急事態条項については、勝共連合系雑誌『世界思想』2021年5月号が特集し、「緊急事態条項とは、戦争や災害などの国家的緊急事態に際して、政府が平常の統治秩序では対応できないと判断した場合に、緊急事態宣言を発令して憲法秩序を一時停止し、非常措置をとる規定」と明記しています。

「戦争」を想定し、その場合に「憲法秩序を一時停止」=人権の停止、議会制民主主義の停止としており、まさに“戒厳令”です。

自民党の改憲4項目(2018年)では「緊急事態」の例示として「大地震その他の異常かつ大規模な災害」とされ、「戦争」=軍事的緊急事態は明示されていません。「その他の異常かつ大規模な災害」に含まれる仕掛けになっており、これと比べても、非常に露骨な戦時の権力集中です。

これに対し2012年の自民党改憲草案では、「緊急事態」の例示に「わが国に対する外部からの武力攻撃」が明記され、こうした緊急事態に「内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定」できるとされ、国会の権限を内閣が独占する民主主義否定の仕組みです。

家族条項・・個人より公益 国家主義

家族条項については、「家族は社会の自然かつ基礎的単位」とする2012年自民党改憲草案の内容をそのまま主張しています。

『世界思想』2015年5月号では「憲法を改正し家族条項を新設することはわが国の喫緊の課題である。このままでは、行き過ぎた個人の人権が拡散し家庭と社会、さらには国が内から崩されていく」などとしています。

ここで「行き過ぎた個人の人権」などと攻撃しているのが、同性愛・同性婚やLGBTQの主張です。徹底的に同性婚に反対し、性自認・性的指向の多様性を否定しています。

その背景をめぐり『世界思想』2021年5月号では「あらゆる人間関係のうち、男女の結合を婚姻として制度化している理由は、それが次世代を産み育てる公益性を有しているからだ」と強調。自民党の杉田水脈議員が「LGBTは生産性がない」と発言したのと全く同じ“思想”を背景に、同性婚を否定しています。個人より公益、国家を重視する国家主義がみえます。

9条改憲・・改憲動機に「強い国家」

9条をめぐっては『世界思想』2015年5月号で「もとより軍の存在を認めない9条が諸悪の根源だ。他国なら当たり前の軍法会議を設けないなど国内の法整備もできないでいる」「憲法に国防義務を明示し、しかるべき軍事力を保持することを明示する」と強調しています。

これは12年自民党改憲草案が「日本国民は国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り」と国民の国防義務を定め、9条2項の戦力不保持規定を全面削除し、「国防軍を保持する」と明記しているのと同じです。

『世界思想』2020年5月号では「安倍・自民党が目指すのは自衛隊の根拠規定を憲法に明記することだ」とし、「目指す改憲が実現し、憲法上、『戦力』と『実力』が両立することで自衛隊の位置づけは整理される」としています。

他方、「ただし、課題は残る」として、世界有数の装備を持つ自衛隊は「戦力」にあたらないのかとの指摘や、自衛権の範囲をめぐる論争も決着しないなどの問題が残るとしています。自民党が現在主張する「9条への自衛隊明記案」に同調しつつ、より“根本的”な改憲を主張しているのです。