マイナ保険証の不具合 都内首長、苦言や要望相次ぐ 世田谷区長「高齢者施設は困っている」 多摩市長「いったん立ち止まるべき」

「マイナ保険証」のトラブルが全国で相次ぐ 政治・経済

マイナ保険証の不具合 都内首長、苦言や要望相次ぐ 世田谷区長「高齢者施設は困っている」 多摩市長「いったん立ち止まるべき」(東京新聞 2023年7月3日 06時38分)

各地でトラブルが問題化しているマイナンバーカードを巡り、東京都内自治体の首長から国などへの苦言や要望の発言が相次いでいる。特に保険証と一体化させる「マイナ保険証」には不具合や制度のあり方に、現場の疑問は強まるばかりだ。

「国はいったん立ち止まるべきだ」

多摩市の阿部裕行市長は六月二十九日の定例会見でこう求めた。中でも「マイナ保険証」への不安は強く、介護施設などの入所者が単身の場合に「作成そのものが難しい」と指摘した。現行の保険証が廃止された以降に、代わりの「資格確認書」が発行されることについても、一年更新でかつ申請が必要のため「ほぼ寝たきりの人は対応できないことになる」と危惧した。

世田谷区の保坂展人区長も同二十二日の定例会見で同様の疑問点に触れ、「高齢者施設は本当に困っている。誰がカードを作るのか。自治体職員が出張して写真撮影するのは非現実的。現行の保険証をそのまま使えばいい」と提言した。マイナカード普及を急ぐ政府姿勢には「あまりに一気過ぎて(役所の)コールセンターもパンク状態になったこともある」とした。

中央区の山本泰人区長は同二十二日の区議会本会議で、高齢者施設が入所者のカード保管の負担を強いられる点をただされ「厳重な管理が必要となるため、国の責任で取り扱い方針を示すべきだ」と答弁。品川区の森沢恭子区長は同二十一日の定例会見で、マイナカードへの不信を理由にした返納が二件あったとし、「国民がしっかり制度を理解して、トラブルがないように国にはしていただきたい」と要望した。

また政府が登録データを秋までに「総点検」するとの方針について、小池百合子都知事は同三十日の定例会見で、自治体側の業務負担などが懸念されていることを踏まえ「タイミングや方法などについて現場の声をしっかり受け止め、問題解決に全力を挙げていただきたい」と注文した。(東京ニュース取材班)