<社説>少子化対策/社会を変える覚悟を示せ…神戸新聞 野党「どこが異次元か」、財源・実現性を疑問視

「こども家庭庁」が本格始動 政治・経済

少子化対策/社会を変える覚悟を示せ(神戸新聞 2023/04/03)


「こども家庭庁」がきょう、本格始動する。子どもがもっと生きやすく、子育てがしやすい社会の実現に向け、関連政策の司令塔を担う。

それに先立ち、政府が少子化対策の試案を公表した。人口減少に歯止めがかからない中、岸田文雄首相は「社会全体の意識や構造を変える」と意気込みを語ってきた。

児童手当は所得制限をなくし、多子世帯への増額や高校生までの支給延長も盛り込んだ。家庭の経済事情にかかわらず、全ての子どもが基礎的な支援を受けられるようにするのは当然だ。むしろ判断が遅すぎる。

非正規やフリーランスで働く人が増えている状況を踏まえ、育児に伴う収入減を補う新制度を検討する。高等教育費の負担軽減や、子育て世帯の住居支援などにも取り組む。

男性の育児休業については、現在10%台にとどまる取得率を2025年に50%、30年には85%に引き上げることを目指す。さらに、1歳児や4~5歳児を担当する保育士の配置基準を手厚くする。

以前から必要性が指摘されながら手つかずだった施策が目立ち、「異次元」というレベルには程遠い。政府は対策を速やかに実行する責任があるが、肝心の財源の裏付けが示されていない。これでは本気度が疑われても仕方あるまい。

少子化対策は、社会的な支え合いを維持するための取り組みである。全ての国民が受益者となる。そうした共通認識に立ち、負担をどのように分かち合うかを、今こそ正面から議論するべきだ。

子育て支援と併せて重要なのは、将来世代の生活基盤の安定化である。国の調査によると、結婚しない理由に「仕事が不安定」といった経済的事情を挙げた20~39歳の独身者の割合は男女共に高い。

将来に明るい見通しが持てるよう、安定した雇用や持続的な賃上げが求められる。日本企業の特徴ともいえる長時間労働や転勤の多さ、年功序列型の人事制度などについても、今後一層の見直しが迫られる。

何より問われているのは、「社会全体で子育てを支える」という意識が浸透するかどうかだ。

育児と教育の責任や負担を、家庭に、とりわけ母親に過度に負わせている状況を改める必要がある。先進国の中で日本女性の家事・育児負担は飛び抜けて重く、少子化を助長してきた。根底にある旧来の男女役割規範を変える覚悟を、岸田首相は率先して示してもらいたい。

当初「こども庁」だった名称は、自民党保守派らの主張で「こども家庭庁」になった。古い家族観に縛られず、子どもの幸せを最優先とする政策を推し進めねばならない。

野党「どこが異次元か」 財源・実現性を疑問視―少子化たたき台

野党「どこが異次元か」 財源・実現性を疑問視―少子化たたき台(JIJI.COM 2023年04月01日07時14分)

政府がまとめた「異次元の少子化対策」のたたき台について、野党からは31日、財源の裏付けや実現までの道筋が不明確だといった批判が相次いだ。「どこが異次元なのか」(立憲民主党の長妻昭政調会長)との厳しい声も出た。

立民の泉健太代表は記者会見で「いつどうやって、というところが抜けている。(予算)倍増の基準が明らかでなく、開始時期が示されていない」と批判。長妻氏も会見で「非常に肩すかし。選挙の直前にどうしても出さないといけなかったのだろう」と皮肉った。

日本維新の会顧問の松井一郎大阪市長は、記者団に「財源の具体的な説明をどうするかだ」と課題を指摘。「赤字国債をバンバン発行したら、どこかで誰かが償還することになる」として子どもたちへの付け回しになるとの認識を示し、行政改革などで財源を賄うよう求めた。

共産党の田村智子政策委員長は会見で「異次元と言うにはかなりお粗末な中身」と酷評。たたき台に盛り込まれた奨学金制度の拡充に関し、「あまりに重い教育費負担をどうするかが求められている。借金をさせず、借金を減らす策に踏み出さなければならない」と切り捨てた。

一方、自民党の世耕弘成参院幹事長は会見で「今回のメニューを中心に網羅的にバランスを取って行っていくことが重要だ」と強調。公明党の山口那津男代表は街頭演説で「公明党が訴えてきたものが全て盛り込まれることになった」と党の貢献をアピールした。