仲介者演じる中国と温度差、プーチン氏は侵略継続を正当化…習近平氏は表情変えず「和平交渉を」

21日、モスクワのクレムリンで乾杯する中国の習近平国家主席(左)とロシアのプーチン大統領 国際

仲介者演じる中国と温度差、プーチン氏は侵略継続を正当化…習近平氏は表情変えず「和平交渉を」(読売新聞 2023/03/23 06:55)

中国の 習近平(シージンピン)国家主席は22日までのロシアへの公式訪問で、プーチン大統領と結束して米欧が主導する国際秩序に対抗していく構えを強く打ち出したが、ウクライナ侵略を巡る両者の間には温度差が見られた。

両首脳は21日、モスクワのクレムリンで中露関係の強化に関する共同声明に署名後、記者発表を行った。

習氏の訪露は、対立が深まる米国を念頭に置いた中露関係の強化に加え、ウクライナ情勢を巡り、「和平交渉を促すこと」(中国外務省)も目的の一つだった。

しかし、プーチン氏は記者発表の場で、中国が2月に示した「12項目の提案」について、「多くはロシアの立場と一致しており、西側諸国とウクライナが取り組む用意を示した時、平和的解決の基礎になり得る」と述べる一方で、「その用意はまだ見えない」と侵略の継続を正当化した。

これに対し、習氏は表情を変えずに「中国は客観的で公正な立場を堅持し、和平交渉を積極的に促す」と述べるにとどまった。

中国は和平に積極的な「仲介者」を演じ、米欧と距離を置く新興国や途上国への影響力を増す狙いがある。中国外務省の 汪文斌(ワンウェンビン)副報道局長は22日、「習主席の訪露は国際社会の熱烈な反響を呼んでいる」と自画自賛したが、ロシアに寄り添う姿勢を見せたことに対し、米欧からは早速批判の声が上がっている。

一方、プーチン氏にとっては、ウクライナ侵略の継続に必要な支援を中国から得ることが最大の目的だった。共同声明には「中国は強力で繁栄したロシアが必要だ」との文言が盛り込まれ、2030年までの経済協力も確認するなど一定の成果を得たと言える。

ただ、声明には両国関係について「東西冷戦時代のような軍事、政治同盟ではない」とも明記され、ウクライナ侵略開始直前の昨年2月に北京で「無制限の友好」を確認したのとは対照的になった。