衆院山口4区補選“安倍後継”吉田真次氏の勝利に黄信号…昭恵さんのひと言に林派が激オコ

昭恵さんは必死だが… 政治・経済

衆院山口4区補選“安倍後継”吉田真次氏の勝利に黄信号…昭恵さんのひと言に林派が激オコ(日刊ゲンダイ 公開日:2023/03/23 06:00 更新日:2023/03/23 06:00)

4月23日投開票の衆参5補欠選挙。うち2つが行われる自民の岩盤選挙区・山口で異変が起きている。安倍晋三元首相の後継として、昭恵さんが主導して山口4区に擁立した前下関市議の吉田真次氏(38)の勝利に黄信号がともったというのだ。

背景には次の総選挙での「新区割り」がある。山口の選挙区は現在の4から3に減区となる。下関市を含む新3区を林芳正外相も狙っていて、吉田氏が補選で当選すれば、2人の間での調整が必要だ。

もともと下関では、市議会を含め、安倍派VS林派の激しい対立があり、既に新3区をめぐって火花が散っているのだが、そんな中、昭恵さんのひと言が林派の逆鱗に触れたという。

「8万票取れば林さんも入ってこれない」

地元紙・中国新聞で、昭恵さんが後援会幹部にこう語ったと報じられた。前回21年の衆院選で安倍が獲得した8万票を目標とし、新3区を林派に明け渡さない、という昭恵さんの強い意思。これを知った林派は「だったら補選で吉田氏を応援しない」となり、投票に行かずに寝てしまいかねないという。

加えて、山口のもうひとつの補選、2区の状況も影を落とす。2区には安倍の実弟・岸信夫前防衛相の引退にともない、岸の長男・信千世氏(31)が出馬するが、「減区で不利にならないよう、4区の吉田氏より得票率で上回らなければならない」(地元関係者)と組織はフル稼働。とても4区の活動に手が回らず、岸家の支援なく昭恵さんは戦わなければならない。

統一教会問題もクローズアップ

そしてトドメは、4区の対抗馬として立憲民主党が前参院議員の有田芳生氏(71)を擁立したこと。

選挙戦では、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と安倍元首相とのズブズブ関係があらためてクローズアップされることになるのは間違いない。

「山口ではただでさえ急速に『安倍離れ』が進んでいます。2月の下関市議選では林派が安倍派を上回った。どうせ選挙区が4から3に減るのだから、林派にとっては吉田氏が負けてくれた方が新3区の下関に戻りやすい。同じ自民党とはいえ、吉田氏の選挙で林派が手を抜く可能性が大いにあります」(山口4区を取材しているジャーナリスト・横田一氏)

岸田首相は17日の記者会見で、衆参5補選での勝敗ラインについて、自民党の議席を守り抜くとして「最低3勝」との認識を示した。野党系の議席だった和歌山1区と参院大分は既に自民の苦戦も予想されている。山口4区を落とせば、2勝3敗のまさかの負け越しもあり得る。「サミット花道論」が再び浮上しかねず、念願のキーウ訪問に浮かれている場合じゃない。