「なぜ地球温暖化の原因はCO2なのか」 気候変動に関する疑問、答えられる?

「なぜ地球温暖化の原因はCO2なのか」 気候変動に関する疑問 科学・技術

「なぜ地球温暖化の原因はCO2なのか」 気候変動に関する疑問、答えられる?(Forbes JAPAN 2022/11/26 11:30)

ネットで気候変動に関するニュースをチェックすると「地球温暖化はウソだ!」と本気で信じている人が大勢いることがわかる。

また、温暖化を支持していても「本当にCO2が原因なのか」「地球はもうすぐ寒冷化するのではないか」といった疑問に答えられる人はほとんどいないだろう。

今回は、地球温暖化のさまざまな疑問に対する科学的な回答をまとめていく。

温暖化のデータを捏造?「クライメートゲート事件」

疑問に答える前に、温暖化懐疑派がデータ捏造事件としてよく取り上げる「クライメートゲート事件」を簡単に紹介する。

クライメートゲート事件とは、英国イーストアングリア大学の気候研究ユニットがクラッキングされ、地球温暖化の研究に関連した電子メールと文書が公開された事件である。

国際的陰謀の証拠であるとして大きな波紋を呼んだが、実は後に第三者機関の調査によって潔白が証明されている。

温暖化の原因は本当にCO2?

画像引用元:地球温暖化懐疑論批判

CO2が温暖化の原因となる気候モデルでは、シミュレーションの結果が実際の世界平均気温の変化に近い結果を再現するのに対し、CO2が温暖化の原因とならない気候モデルでは、結果が実際の世界平均気温の変化を再現できない。

IPCC第4次評価報告書では、1900年から1999年の気候のシミュレーションを行った結果、人為的な温室効果ガスの増加を考慮しないと実際の観測結果を再現できないと結論づけている。

温暖化の主な原因は水蒸気?

現在の大気の温室効果は約5割が水蒸気、約2割がCO2によるものであり、水蒸気が最も大きな温室効果を有することは事実であるが、CO2が重要な役割を果たしているのは間違いない。

大気中の水蒸気の量は人間活動によって直接的にコントロールできないため、気温上昇の最初のきっかけは、人間が排出したCO2によるところが大きいのだ。

温暖化が進むことで大気中の水蒸気が増加し、さらに温暖化を促進すると考えられている。

地球は近いうちに寒冷化する?

地球は氷期と間氷期が約10万年の周期で繰り返されており、この気候変動は日射量の変動にも起因すると考えられている。2万〜10万年スケールの日射量変動は理論的に計算でき、将来の氷期が今後3万年以内に起こる確率は低いと予測されている。

また、20世紀後半からの温暖化は日射量変動のみでは説明がつかず、大気中の温室効果ガス濃度の人為的な増加が主な原因であることがわかっている。

氷が解けても海面は上昇しない?

温暖化によって北極海の氷が解けても、アルキメデスの原理から海面が上昇することはない。

コップの水に浮かんだ氷が解けても、コップの水位が変わらないことをイメージすると理解できるだろう。

しかし、グリーンランドをはじめとする陸上の氷河/氷床が融解して海水の量が増加したり、海水が温まって膨張したりすることで海面が上昇する。

2013年に公表されたIPCC第5次評価報告書によると、21世紀の海面上昇は26cm〜82cmと見積もられているのだ。

地球温暖化は陰謀論?

「地球温暖化はお金儲けのための陰謀論だ」と主張する人もいるが、温暖化研究は予算が取れない時代から積み重ねられてきたものであるため、論理的に無理がある。

2015年、グリーンピースの調査により、温暖化懐疑派の科学者ウィリー・スーン氏が石油業界から10年間で総額120万ドルもの寄付金を受け取っていたことが明らかになった。むしろ、温暖化懐疑論こそ、石油業界の陰謀である可能性が高いといえるだろう。

地球温暖化は本当に起きている

結論として、地球の気温が上昇しているのは紛れもない事実であり、地球温暖化はウソではないと断定することができる。

温暖化する原因については、未知の要因がある可能性は否定できないが、 2009年に行われた調査では気候学の研究に貢献している科学者の97.5%は人為的温暖化説を支持している。

手遅れになってからでは遅いため、自動車での移動を減らす、再生可能エネルギーに切り替える、プラントベースの食事を取り入れるなど、できることから始めていこう。

【参考文献】
・環境省
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/stop2008/26-27.pdf
https://www.env.go.jp/press/12697.html
・地球温暖化懐疑論批判
http://www.cneas.tohoku.ac.jp/labs/china/asuka/_src/sc362/all.pdf
・国立環境研究所 地球環境研究センター
https://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/11/11-2/qa_11-2-j.html
https://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/24/24-2/qa_24-2-j.html
https://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/7/7-1/qa_7-1-j.html
・SankeiBiz
https://www.sankeibiz.jp/express/news/150228/exd1502280000001-n1.htm
・気象庁
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_wld.html
・Examining the Scientific Consensus on Climate Change
https://web.archive.org/web/20151106083011/http://tigger.uic.edu/~pdoran/012009_Doran_final.pdf

※この記事は、2021年11月にリリースされた「エシカルな暮らし」からの転載です。