ロシア「軍服150万人分消失」「装備は自腹で調達」「動員兵はコロナ感染」これだけのお粗末!

プーチン大統領の足元で“怪事件”が発生 国際

ロシア下院議員が激怒! 「軍服150万人分消失」の怪事件はクーデターの予兆か

ロシア下院議員が激怒! 「軍服150万人分消失」の怪事件はクーデターの予兆か(日刊ゲンダイ 公開日:2022/10/05 06:00 更新日:2022/10/05 06:00)

弱り目にたたり目だ。ウクライナ戦争で苦戦を強いられているプーチン大統領の足元で“怪事件”が発生。ナント、招集兵に用意していた軍服150万人分が消えたというのだ。

モスクワ・タイムズ(電子版3日付)によると、ロシア下院議員で元陸軍中将のアンドレイ・グルコフ氏が自身のSNSに、〈戦闘員の受け入れのために備蓄していた150万人分の軍服がどこへ消えたのか分からない。なぜこんな問題が起こるのか。誰も説明しようとしないのだ!〉と投稿。怒りをあらわにしたという。

一体、誰が何の目的で軍服150万人分を「消した」のか。

筑波大名誉教授の中村逸郎氏(ロシア政治)がこう言う。

「一般市民はもちろん、末端の兵士に持ち出せるとも到底考えられず、ロシア軍高官の工作だと考えられます。ある程度の組織でなければ、大量の軍服は動かせないでしょう。

では、動機は何か。事実上、ロシア軍は崩壊しており、新たな動員もままならない状況です。地上での作戦遂行が難しいとなると、プーチン大統領が取る選択肢は、戦術核を含む強力な兵器の使用に狭まってきているといえます。

ロシア軍からすれば、核兵器が使われる恐れのある死地へ仲間を動員させたくないわけです。しかも、ドネツク・ルガンスク2州を解放して『特別軍事作戦』は終わるのかと思いきや、4州を併合しても終わりは見えない。

プーチン大統領への反発、反感が高まっていると考えれば、消えた軍服事件はロシア軍によるクーデターの予兆とも捉えられます

■自前なら最安でも約19万円

記事によれば、部分動員令の発令後、当局は戦闘員に必要物資を供給すると確約。ところが、実際は当局から〈防寒着、冬用の迷彩服、ベレー帽、毛布などを各自で調達するように通達を受けた〉という。動員をかけたにもかかわらず、必要最低限の装備すら用意できず、「各自でどうにかしろ」と呼び掛けているのだ。

自前の場合、安価な装備でも1人7万6000ルーブル(約19万円)かかるというから、酷な話である。

「戦線のロシア兵士は、無線機で怒鳴り合いのケンカが絶えないといいます。不十分な装備での戦闘を余儀なくされ、規律も取れず、もはや軍としての体をなしていないのでしょう」(中村逸郎氏)

“怪事件”の首謀者は誰なのか。ロシア国内はプーチン氏への不満がとぐろを巻いているようだ。

ロシア「軍服150万人分消失」「装備は自腹で調達」「動員兵はコロナ感染」これだけのお粗末!

ロシア「軍服150万人分消失」「装備は自腹で調達」「動員兵はコロナ感染」これだけのお粗末!(Asagei Biz 2022年10月12日 10:00)

10月8日、ウクライナ南部クリミアとロシアを結ぶ「クリミア大橋」で起きた爆発を「ウクライナによるテロだ」と主張したプーチン大統領。報復に乗り出したとみられ、10日にはウクライナの少なくとも8州がロシアから攻撃され、83発ものミサイルが撃ち込まれたとされる。

情勢は緊迫しているが、露軍の動向を調べる独立系団体「CIT」と調査報道専門機関「Istories」は5日、ウクライナへの予備役部分的動員に関し「発令から2週間で少なくとも21万3000人が動員された」との独自調査を発表した。

発表によれば、徴兵された80以上の州や共和国のうち、招集の多くは、ロシアの平均所得を下回る貧しい地方からで、これは、反戦の抗議行動を活発化させないための方策だ、との指摘もある。

そんな中、モスクワ・タイムズ(電子版3日付)が「ロシア軍が備蓄する大量の軍服が突然消えた」と報じ、波紋を広げている。

「記事は、ロシア下院議員で元陸軍中将のアンドレイ・グルコフ氏が自身のSNSに投稿した、《戦闘員の受け入れのために備蓄していた150万人分の軍服がどこへ消えたのかわからない。なぜこんな問題が起こるのか。誰も説明しようとしないのだ!》とのコメントを引用しています。

また、記事によれば、動員令発令後、当局は戦闘員には必要物資を供給すると通達していたにもかかわらず、いざ蓋を開けると《防寒着、冬用の迷彩服、ベレー帽、毛布などを各自で調達するように通達を受けた》とのことです。軍服から寝袋までとなれば、安価な装備でも1人8万ルーブル(約20万円)程度はかかる。動員したはいいものの、必要最低限の装備も『自分で調達しろ』では、もはや軍としての体など、なしていないということです」(軍事ジャーナリスト)

しかも、こんな報道まである。

「現地独立系メディアなどによると、『動員兵の中には、新型コロナウイルスの感染者が多数含まれていて、長距離移動の列車やバスで感染が拡大している』というのです。事実なら兵士を戦場に送り込めませんからね。戦いになりません」(前出・軍事ジャーナリスト)

一方、政権中枢に目を転じれば、ウクライナ侵攻開始から7カ月が経過したにもかかわらず、一向に成果を上げられない軍上層部に対して、内部でも批判の声が高まっているという。

「ロシアが一方的に『併合』したウクライナ東部ヘルソン州の高官が、『もし自分がこうした状況を許している国防相だったなら、将校として自ら命を絶った、と言う人は多い』と、ショイグ国防相を非難したのです。政府高官が国防のトップをここまで批判するのは極めて珍しいことです。

ロシア民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏なども、『ろくでなしの軍司令官に自動小銃を持たせ、はだしで前線に送り込むべき』など過激な発言を繰り返しており、 独立系メディアの中には『クーデターの予兆か』といった報道をしたところもあります。

弱腰のプーチンとショイグを引きずり下ろし、核を使って一気に攻めろ、という強硬派が存在することも事実ですから、プーチンがジレンマに陥っていることは間違いないでしょう」(前出・軍事ジャーナリスト)

10日に始まった「報復攻撃」といい、苦境に立たされたプーチン氏の「次の一手」が危惧されるのである。

(灯倫太郎)