岸田首相の場当たり的コロナ対策、指針は世論と内閣支持率 秘密資料入手

岸田文雄首相、場当たり的コロナ対策 政治・経済

岸田首相の場当たり的コロナ対策を示す秘密資料入手「濃厚接触者も就労を許容」の“ダメ元”提案(FLASH編集部 2022.09.08 17:10)

「この資料が配られたときには、驚きました。あまりに安直で、専門家が飲めるはずのない提案が書かれていたからです」

厚生労働省関係者がそうあきれる。9月7日、加藤勝信厚労相は、新型コロナウイルスに感染した自宅療養者の行動制限について、新しい基準を発表した。

「9月7日から、療養のために待機する期間は症状ありの場合、原則10日間から7日間に、無症状の場合は7日間から5日間に短縮されました。

さらに、無症状か症状が軽くなってから24時間たてば、マスクを着ければ食料品の買い出しなどのための外出が可能になりました」(厚労省担当記者)

この基準は、9月6日に岸田文雄首相と加藤厚労相ら関係閣僚が協議し、翌7日に厚労省の専門家会議(アドバイザリーボード)に提案され、了承されて決まったもの。だが、この専門家会議には、岸田首相肝いりの別の提案も“ダメ元”で出されていた。

本誌が入手した資料「濃厚接触者の外出自粛の見直し(案)」によれば、その提案は、囲み線入りで強調され、このように書かれている。

《同居家族を含む濃厚接触者について、無症状の場合には、自主的な感染予防行動を徹底することを前提に、待機期間中であっても高齢者施設等ハイリスク施設以外での就労や就学を許容する》

医療従事者などは、濃厚接触者となっても就労することが特例措置で認められているが、それをほかの業種にも一気に拡大する、という内容だった。

「専門家会議の前に政府内で事前調整をおこなったときも、『これは専門家の皆さんに了承される可能性は低いのですが……』と、弱腰の議論がなされていました。

これまでこうしたものは、尾身茂氏(政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会会長)などと事前にしっかりと調整し、専門家会議で了承される形にまでブラッシュアップしてから、提案していました。

しかし、今は事前の根回しをこなせず、調整不足のまま、了承される可能性が低い提案をする、というお粗末な状況になってしまいました。案の定、この案は専門家たちに一蹴されました」(前出・厚労省担当記者)

厚労省関係者は「この提案が認められれば『今までの行動制限はなんだったんだ』という批判が殺到したでしょう」と語る。

「菅義偉政権のときは、波はあったとはいえ、今に比べれば感染をコントロールできていましたし、コロナ対策に重点をおいた施策を展開していました。しかし、岸田政権にはコロナ対策についての確固たる指針がない状態です。

そこで何を指針にしているかというと、世論と内閣支持率です。場当たり的な対応になっており、関係者間の調整もうまくいっていません。今の状況が長引けば、支持率が下がるのは明白で、今回もなんとか支持率を上昇させたいために『行動制限をなくしたらどうか』と、その場しのぎの提案をしたのです。

菅前首相は、岸田政権のコロナ対応を批判しています。それは、今回のように、その場その場で世論受けしそうな対応をするのが原因です」

調整不足が露呈した岸田首相。行動制限が解除されるのは、いつの日になるのだろうか。

( SmartFLASH )