戦没者追悼式、遺族は92人のみ 配偶者の参列途絶える
終戦から76年の15日、政府主催の全国戦没者追悼式が東京都千代田区の日本武道館で開かれた。都内は新型コロナウイルスの緊急事態宣言中のため、参列者数を昨年以上に絞り、過去最少の185人となった。戦没者約310万人を悼み、平和の継承を誓った。付き添いも含めて遺族92人のほか、天皇、皇后両陛下や首相らが参列した。正午の時報に合わせ、1分間の黙禱を戦没者に捧げた。
天皇陛下は「おことば」で昨年同様に「過去を顧み、深い反省」を盛り込み、「再び戦争の惨禍が繰り返されぬこと」を切に願うと語った。コロナ禍についても「私たち皆がなお一層心を一つにし、力を合わせてこの困難を乗り越え、今後とも、人々の幸せと平和を希求し続けていくことを心から願います」と述べた。
土砂災害44件、氾濫36河川 鉄道や道路も被害相次ぐ
国土交通省は15日、大雨に伴う土砂災害を15府県で計44件確認したと発表した。堤防の決壊や越水など9県の36河川で氾濫が発生。鉄道や道路も被害が相次いでいる。
土砂災害の都道府県別件数(15日正午現在)は長崎11、広島7、熊本5、佐賀4、富山、福岡各3、石川、鹿児島各2、福島、長野、岐阜、静岡、滋賀、京都、大阪各1。ほかにも複数箇所で被害を確認中で、さらに増える見通し。
氾濫した河川のうち国管理は、江の川(島根、広島)と六角川(佐賀)。六角川流域の浸水範囲は佐賀県武雄市など5000ヘクタール超と推計される。国交省が排水を急いでいる。
新型コロナ重症者1563人に 前日から42人増 3日連続で最多
厚生労働省は15日、全国の新型コロナウイルス感染症の重症者が14日時点で1563人になったと発表した。前日から42人増え、3日連続で過去最多を更新した。重症者は、人工呼吸器や人工心肺装置ECMOを使用している人、集中治療室(ICU)に入っている人。全国の重症者は5月25日の1413人をピークにいったん減少したが、流行「第5波」の影響で7月中旬ごろから急増している。
ラムダ株、公表遅れに批判 確認2週間後 「五輪そんたく」臆測も
南米ペルー由来とされる新型コロナウイルスの変異株「ラムダ株」を巡る、政府の公表の経緯に批判が強まっている。日本国内で初確認されてから厚生労働省が明らかにするまでに2週間もかかったためだ。この間は東京オリンピックの開催期間と重なり「五輪に水を差さないための忖度」との臆測も広がる。
厚労省や国立感染症研究所などによると、日本国内で初めて見つかったのは7月20日、羽田空港に到着した30代女性からだった。女性はペルーに滞在歴があり、空港の検疫で新型コロナ陽性が判明。感染研が詳しく調べたところ、23日に国内で初めてのラムダ株と確認された。感染研は同日、厚労省に報告。26日には感染症の国際機関にも報告したが、公表していなかった。
米ニュースサイト「デーリービースト」は8月6日、ラムダ株の日本国内の初確認について報道し「東京五輪後に発表する計画があった」とする感染研の研究者の証言を掲載。国内のスポーツ紙などが報道を引用する形で取り上げた。厚労省はこの日、報道機関の取材に対し、ラムダ株の初確認を認めた。感染研による初確認から2週間後のことで、7月23日から8月8日まで行われた東京五輪と期間が重なる。さらに閉幕後の8月13日には、この30代女性が東京五輪の大会関係者だったと共同通信が報じた。
ツイッター上では「オリンピック中に公表すれば、中止の声が大きくなると考えたのではないか」(中島岳志・東京工業大教授)、「五輪が終わってから明らかになるというのは『隠蔽』といわれても仕方がない」(共産党の志位和夫委員長)などと批判が噴出した。
タリバン、アフガン首都カブール以外の主要都市を制圧 権力移譲要求
アフガニスタンの旧支配勢力タリバンは15日、首都カブールへの進攻を開始した。ロイター通信がアフガン当局者の話として伝えた。これに先立ちタリバンは同日までに北部マザリシャリフ、東部ジャララバードも制圧し、カブールを除くすべての主要都市を支配下に置いた。タリバンはガニ大統領に対し権力の移譲を求めており、ガニ氏の決断が焦点となる。
タリバンの報道担当者は15日の取材に対し、「(戦闘員には)市内の入り口で待機せよと命じた。我々は政府に対して平和的な権力の移譲を求めている」と述べ、政権移行に向けた協議が進んでいると明らかにした。地元メディアによると、アフガンの内相代行も15日、「平和的な(権力の)移行が行われる」と述べた。詳細は不明だが、タリバン主導の政権運営が始まる可能性も出ている。