【分析】なぜイスラエルはイランを徹底攻撃するのか?イスラエル人の脳裏によみがえるユダヤ人迫害の歴史

イスラエル・ネタニヤフ首相 国際

【分析】なぜイスラエルはイランを徹底攻撃するのか?イスラエル人の脳裏によみがえるユダヤ人迫害の歴史(読売テレビ 2026年3月21日 11:00)

イランへの攻撃の手を緩めないイスラエル。その背景には一体何があるのか…イスラエルでユダヤ人の歴史の研究を続ける、東京大学大学院・鶴見太郎准教授に聞きました。

ハマスの襲撃でよみがえったホロコーストの記憶

2月28日、イスラエルは、アメリカと共にイランへの攻撃を開始。またイスラエルは、イラン側の勢力であるイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」の拠点があるレバノンへの空爆も続けています。なぜ、ここまで強硬姿勢を取るのでしょうか?

(鶴見准教授)
「ネタニヤフ首相自身が30年以上前からイラン脅威論を訴えていて、10月7日(のテロ攻撃)でイスラエルが思っていたよりも、ハマス側が狂暴であるとなり、親玉のイランを少なくとも軍事的に弱体化させなければいけない、という考えが共有されるようになったということが一番大きい。ネタニヤフ首相は政権転覆がベストだと思っていることは間違いない」

2023年10月7日、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配していた「ハマス」が、イスラエルに奇襲攻撃を行いました。「ハマス」はイランから軍事支援を受けるイスラム原理主義組織です。

襲撃を受け、イスラエル人の脳裏によみがえったのが、ナチスによりユダヤ人600万人が大量虐殺された「ホロコースト」の悲劇だったと鶴見准教授は分析します。

(鶴見准教授)
「(10月7日以降)ホロコースト、さらにその前の東欧で頻発していたポグロムという民衆に対する暴力についての言葉が飛び交うことが多かった。イスラエルは安全保障に自信を持っていたが、急にユダヤ人が丸腰の状態で虐殺されるようなイメージがよみがえってきたので、特にユダヤ教の市民で、それまでのやり方ではダメだと考える人が多くなった」

イスラエルは去年6月にも、イランへの攻撃を12日間にわたって行いましたが、「完全にイランを弱体化させた感じはなく、もう少しやる必要がある」という雰囲気になっていったといいます。

(鶴見准教授)
「どんどんイスラエルのやり方が原始的な方向になり、(軍事的)抵抗を強めている。やられたらちゃんとやり返すというような形で、抑止力をちゃんと持たないとやられると。強くなることによって、簡単には手を出させない、相手の『暴力を振るおう』という発想をくじかなければならない、となっていった」

もう一つの背景…ユダヤ教の聖地をめぐる歴史

(イスラエル・ネタニヤフ首相/9日)
「我々は彼ら(イラン)の骨を砕きつつある」

イランを徹底的に攻撃する姿勢を崩さないイスラエル。もう一つの背景が、ユダヤ教の聖地をめぐる歴史です。

迫害を受けてきたユダヤ人は、大戦後、聖地パレスチナにイスラエル“建国”を宣言しますが、これにアラブ諸国が反発し、たびたび武力衝突が起こってきました。

1993年、2つの国家の共存に向け、イスラエルとパレスチナ解放機構との間でオスロ合意が調印されます。しかし、当時のイスラエル・ラビン首相が、国内の反対派に暗殺される事態となりました。

(鶴見准教授)
「(ラビン首相は)異教徒に世俗的な理由で土地を売り渡してしまったということで暗殺された。(共存への)アンチが非常に強くなっていって、選挙をやって選ばれたのが第一次のネタニヤフ首相(政権)」

これでパレスチナ側との「和平」交渉は、ほぼ止まり、イスラエルはその後、パレスチナ人・イスラム教徒との対立を激化させていきました。

イランを徹底攻撃する背景…ユダヤ人迫害の歴史が、中東諸国の関係に暗い影を落とし続けています。

(読売テレビ「サタデーLIVE ニュース ジグザグ」2026年3月14日放送分を再編集)

最終更新日:2026年3月21日 11:00