共産主義及び文化的マルクス主義の浸透と国家制度への影響に関する質問主意書…参政党・神谷宗幣

参政党の神谷宗幣代表 政治・経済

第218回国会(臨時会) 質問主意書

共産主義及び文化的マルクス主義の浸透と国家制度への影響に関する質問主意書

共産主義及び文化的マルクス主義の浸透と国家制度への影響に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

令和七年八月一日
神谷宗幣

参議院議長 関口昌一 殿

共産主義及び文化的マルクス主義の浸透と国家制度への影響に関する質問主意書

共産主義思想は、歴史的に暴力革命や一党独裁、私有財産の否定、宗教・伝統・家族の破壊を掲げ、二十世紀においてソビエト、中国、カンボジアなどで甚大な人道的・制度的破壊をもたらした。我が国においても戦後、日本共産党やその関連団体が破壊活動防止法に規定する調査対象団体に指定され、公安当局の監視を受けてきた。

しかし、より深刻なのは、現代の共産主義が露骨な暴力革命を主張するのではなく、その思想的共鳴者を通じて、官僚機構・司法・教育・地方行政などの中枢に浸透し、価値観や政策判断に相当な影響力を及ぼしている現実である。

例えば、共産主義勢力が司法試験合格者や裁判所職員などを通じて、組織的に法曹界への浸透を試みていたとする証言もある。また、官僚機構においても、これらの思想に共鳴する者が入省後に中枢的な部署に就き、教育、福祉、男女共同参画、外国人政策などの分野で、保守的な国家観や公共的価値観を否定するような制度設計を進めているとの見方もある。

さらに、フランクフルト学派やアントニオ・グラムシの理論に基づく、いわゆる文化的マルクス主義(Cultural Marxism)とも呼ばれる思想潮流は、暴力革命ではなく、価値観・言語・教育・文化などを通じて既存の社会構造の変革を目指しているとされ、特に米国では一九六〇年代以降、大学、マスコミ、法曹界、政府機関などにこうした思想が浸透し、リベラルの名の下に家族制度・宗教・国家意識といった伝統的価値観を相対化、矮小化してきた。文化的マルクス主義は、従来の共産主義のように「党」や「革命」といった明示的な形を取らずとも、制度の内側から価値基盤や社会秩序に影響を与える「構造的変革」を目指している。

我が国においても、ジェンダー平等、ダイバーシティ推進、多文化共生、外国人参政権といった一見穏当な政策用語が用いられつつも、その裏側で、家族、国籍、国語、教育内容、歴史観といった国家の独立性や公共秩序の基盤を成してきた制度や概念が見えない形で崩されてきていると思料する。

さらに、こうした共産主義的政策に対して疑問を呈した議員や評論家、教育者が「差別主義者」、「反民主主義者」のレッテルを貼られることで、議論の萎縮や自己検閲の空気も広がっている。これは、自由民主主義の外見を保ちつつ、内実としては言論統制的傾向を帯びる、いわゆる「ソフト・トータリタリアニズム(柔らかな全体主義)」の兆候であり、政府は憲法秩序を守る観点から、この現象を正面から分析・対応すべき時に来ていると思料する。

以上を踏まえて、以下質問する。

一 共産主義思想の基本的特徴として指摘される暴力革命、一党独裁、財産否定、宗教・家族制度の否定等について、政府はどのように認識しているか。自由民主主義体制との整合性に関する政府の立場を明確に示されたい。

二 非公然党員や特定思想に共鳴する人物が法曹界・官僚機構・地方行政において一定の影響を与えているとの指摘があるが、政府として、そうした傾向についての実態把握・調査・分析を行っているか示されたい。行っている場合、公安調査庁や内閣情報調査室等の関係機関における対応状況を示されたい。

三 日本共産党や関連団体が過去に法曹界・教育界・労働組合などに対して組織的に浸透を図ったと思料するが、政府としてどのように評価しているか示されたい。また、そうした活動が現在においても一定の影響を及ぼしている可能性について、継続的な警戒の必要性を含めた政府の見解を示されたい。

四 米国において、「文化的マルクス主義」と呼ばれる思想潮流が、大学・メディア・法曹界・教育制度等に影響を与えているとの分析がある。こうした海外における思想的動向について、政府としてどの程度把握・認識し、分析・評価の対象としているか示されたい。

五 日本国内において、文化的マルクス主義的価値観(ジェンダー絶対主義、反家族主義、歴史否定、国籍・主権の相対化など)が、行政・教育・法曹界などを通じて制度に影響を与えているとの指摘がある。政府はこのような思想的傾向の政策への影響について、どのように分析し、どのような認識を有しているか示されたい。

六 中国共産党及び北朝鮮当局が行うとされる「統一戦線工作」が、イデオロギーの浸透や価値観の支配を通じて国内の地方行政・市民団体・政党に影響を及ぼしている可能性について、政府はどのように評価し、対策を講じているか示されたい。

七 政府として、自由民主主義体制を守る観点から、共産主義思想やその文化的変種(文化的マルクス主義)による国家秩序の内側からの転覆に対して、啓発・教育・制度的監視を含む包括的対応を採る考えがあるか示されたい。対応を採る場合、その具体策を示されたい。

右質問する。

答弁書

答弁書

内閣参質二一八第四号
令和七年八月十五日
内閣総理大臣 石破 茂

参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員神谷宗幣君提出共産主義及び文化的マルクス主義の浸透と国家制度への影響に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

参議院議員神谷宗幣君提出共産主義及び文化的マルクス主義の浸透と国家制度への影響に関する質問に対する答弁書

一について

お尋ねの「共産主義思想の基本的特徴として指摘される暴力革命、一党独裁、財産否定、宗教・家族制度の否定等」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

二について

御指摘の「非公然党員や特定思想に共鳴する人物が法曹界・官僚機構・地方行政において一定の影響を与えている」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

三について

御指摘の「関連団体が過去に法曹界・教育界・労働組合などに対して組織的に浸透を図った」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、日本共産党については、日本国内において破壊活動防止法(昭和二十七年法律第二百四十号)第四条第一項に規定する暴力主義的破壊活動を行った疑いがあることなどを踏まえ、同党を同法に基づく調査対象団体としているところ、お尋ねについて明らかにすることは、公安調査庁における今後の業務に支障を来すおそれがあることから、お答えは差し控えたい。

四について

御指摘の「「文化的マルクス主義」と呼ばれる思想潮流が、大学・メディア・法曹界・教育制度等に影響を与えている」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

五について

御指摘の「文化的マルクス主義的価値観(ジェンダー絶対主義、反家族主義、歴史否定、国籍・主権の相対化など)が、行政・教育・法曹界などを通じて制度に影響を与えている」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

六について

お尋ねの「イデオロギーの浸透や価値観の支配を通じて国内の地方行政・市民団体・政党に影響を及ぼしている可能性」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

七について

御指摘の「共産主義思想やその文化的変種(文化的マルクス主義)による国家秩序の内側からの転覆」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

参政党・神谷宗幣代表の「質問主意書」がヤバすぎる! トンデモ陰謀論どっぷり7項目に政府も困惑?…日刊ゲンダイ

参政党・神谷宗幣代表の「質問主意書」がヤバすぎる! トンデモ陰謀論どっぷり7項目に政府も困惑?(日刊ゲンダイ 公開日:2025/08/20 10:15 更新日:2025/08/20 10:15)

〈ジェンダーフリーやLGBTQなどは、共産主義者が敵対する国を内部から崩壊させるために悪用している思想戦の一つです〉──。参政党の神谷宗幣代表の編著「参政党ドリル」には、こんな一文がある。根拠不明の自説を開陳する神谷代表が今月初旬の臨時国会に提出した質問主意書も激ヤバだ。先週15日に公開された政府答弁書の“塩対応”とあいまって、話題を集めている。

神谷代表は今月(8月)1日、「戦後80年に際する首相見解の形式及び位置付け」「SNSにおける言論操作及び政府答弁の整合性」など4つの質問主意書を提出。そのひとつ「共産主義及び文化的マルクス主義の浸透と国家制度への影響に関する質問主意書」が、かなりフルっている。

まず、〈現在の共産主義〉が〈思想的共鳴者を通じて、官僚機構・司法・教育・地方行政などの中枢に浸透し、価値観や政策判断に相当な影響力を及ぼしている〉と持論を展開。〈文化的マルクス主義〉がジェンダー平等やダイバーシティー、多文化共生などを推し進めたことで、米国だけでなく日本でも〈家族、国籍、国語、教育内容、歴史観といった国家の独立性や公共秩序の基盤を成してきた制度や概念が見えない形で崩されてきている〉と訴えた。

ちなみに、英紙ガーディアンによれば、文化的マルクス主義とは〈極右や反ユダヤ思想に結び付けられる陰謀論を指す〉。旧統一教会系の政治団体「国際勝共連合」は「文化共産主義」と呼び、「伝統的な家庭を敵視し、個人だけを絶対視する思想」と批判している。

■政府「お答え困難」6連発の塩対応

多様性・公平性・包括性(DEI)の推進が文化的マルクス主義による「変革」だという陰謀論を前提に、神谷代表は7項目にわたって政府の見解を問いただした。うちひとつは、次の通りだ。

〈政府として、自由民主主義体制を守る観点から、共産主義思想やその文化的変種(文化的マルクス主義)による国家秩序の内側からの転覆に対して、啓発・教育・制度的監視を含む包括的対応を採る考えがあるか示されたい〉

質問された政府も「何だコレ」と困惑しきりだろう。7項目のうち6項目で〈お尋ねについてお答えすることは困難である〉と、木で鼻をくくる官僚答弁で応じた。

神谷サン、陰謀論に基づく質問はやめよう。ねっ。