女帝・小池百合子と二階俊博が急接近 ついに「永田町への帰還」を決めたか、「岸田・麻生・茂木」に宣戦布告へ

女帝・小池百合子と二階俊博が急接近 政治・経済

小池百合子、ついに「永田町への帰還」を決めたか…「政界の女帝」が自民党重鎮たちに見せている「不気味な沈黙」

小池百合子、ついに「永田町への帰還」を決めたか…「政界の女帝」が自民党重鎮たちに見せている「不気味な沈黙」(週刊現代 2024.03.23)

政局が動くとき、女帝は必ず姿を現す。東京都知事をつつがなく務めただけで、彼女の野心が鎮まるはずもない。追い込まれた自民党にとって、その力は救いとなるのか、それとも劇薬となるのか。

連絡が途切れた理由

平安の人々は、春の夜にどこからともなく現れるという、得体のしれない獣を恐れた。頭は猿、体は狸、手足は虎、そして尾は大蛇——。「鵺(ぬえ)」と呼ばれるその獣は、変事の前触れとされ、都じゅうを震え上がらせた。

いま、令和の都・東京にも鵺がいると言われる。まもなく都知事2期目を全うしようとしている、小池百合子をそう呼ぶ者が、政界では増えているのである。

「小池さんと連絡がつかなくなった」

3月中旬、自民党前政調会長で東京都連会長の萩生田光一は焦っていた。

安倍晋三の死後に露見した旧統一教会との浅からぬ関わり、そして所属していた安倍派の裏金問題で、深手を負った萩生田。1月に行われた地元の八王子市長選では、自民党候補の惨敗を覚悟し、姿を極力隠した。

そこへ突如、手を差し伸べたのが小池だった。

萩生田氏に対してさえ…

「一票でも足りないと市長にはなれません。初宿(しやけ)さんをお願いします」

1月19日の八王子駅頭、緑のスカーフを身に着けた小池は自公推薦候補の初宿和夫と並び、声を張り上げた。さらには肉声を吹き込んだ自動音声の「電話作戦」まで行い、ひと肌もふた肌も脱いだ。八王子の空気は一変し、初宿は2位に6600票の差をつけて勝利した。

「これで萩生田さんは小池さんに頭が上がらなくなった。市長選直後には小池さんに食事を振る舞いながら『自民党に戻るなら、後押しする準備はできています』と確約したのです。

それからというもの、萩生田さんは党内で『(裏金問題で)俺を切るのは構わんが、小池とのパイプがなくなるぞ』と、小池さんとの関係を誇るようになりました」(自民党中堅議員)

ところが、自分をもみ手で遇する萩生田に対してさえ、小池は前触れもなく連絡を断ったのだ。

不気味な沈黙

何人たりとも予測不可能。それこそが、小池が政界の「鵺」と呼ばれる所以である。

加えて、今回小池が見せている沈黙は、これまでとは質が異なるとみる者が多い。

「萩生田さんだけでなく、4月の補選でのすり合わせのために連絡をとろうとしている小渕(優子)選対委員長も、小池さんに会えていない。明らかに様子がおかしいのです。

小池さんは昔から、ここぞという局面では他人との接触を一切絶ち、ひとりで熟考する人。4年前の都知事選でも直前まで態度を示さず、出馬表明したのは告示のわずか6日前でした。今回もギリギリまで沈黙し、状況を見極めるのでしょう」(自民党東京都連関係者)

小池の不気味な沈黙は、永田町への「帰還」の前兆に違いない——。そう考える永田町関係者が増えているのは、いままさに、小池は千載一遇のチャンスを迎えているからだ。

女帝・小池百合子と二階俊博が急接近「アンタを担ぐよ」…小泉進次郎・河野太郎も巻き込み「岸田・麻生・茂木」に宣戦布告へ

女帝・小池百合子と二階俊博が急接近「アンタを担ぐよ」…小泉進次郎・河野太郎も巻き込み「岸田・麻生・茂木」に宣戦布告へ(週刊現代 2024.03.23)

小池の不気味な沈黙は、永田町への「帰還」の前兆に違いない——。彼らがそう考えるのは、小池にとって、いまが自らの影響力を最大化できる、千載一遇の好機だからにほかならない。

孤立を深めてゆく岸田総理

前回’20年夏の都知事選は、コロナ禍というイレギュラーこそあれ、政局という点では「平時」だった。しかし今年は様相がまったく異なる。岸田政権は瓦解寸前で、とっくに下野していてもおかしくない「非常時」に突入している。

4月に行われる東京15区・島根1区・長崎3区の衆院3補選は、このままいけば自民党の全敗必至。選対委員長の小渕優子は「どうせ情勢調査しても『負ける』という結果しか出ないんだから、調べるのも嫌だ」と周囲に漏らしているほどだ。

そして総理の岸田文雄はあいかわらず、誰とも言葉を交わさず、官邸の自室と国会を往復するばかり。

「唯一残った腹心の元官房副長官・木原誠二の言うことも、最近は3〜4割くらいしか聞いていない。林(芳正)官房長官まで、同じ元宏池会なのに『なるべく総理の決断にはかかわりたくない』と匙を投げてしまった」(自民党ベテラン議員)

という状態で、いっそう孤立を深めている。

「小池の看板がなければ…」

岸田の手元に残った策は、6月の国会会期末で衆院解散を打つことだけだ。しかし、4〜5月の外遊で政権支持率を上向かせ、選挙を戦えるようになるとも思えない。

要するに、岸田と自民党は手詰まりだ。そして小池は、そんな局面が訪れるのをこれまで静かに待ち続けていた。

「すでに自民党は、小池さんの看板を使えなければ何もできない状態に陥っている。八王子市長選だけでなく、去年12月の江東区長選でも、小池さんは都庁で部下だった大久保朋果に自ら白羽の矢を立てて、都民ファーストの会と自民党の相乗り状況をつくったうえで圧勝し、こちらに貸しを作った」(前出・自民党都連関係者)

いまの政界で、確実に勝てる「選挙の顔」たりえる政治家は小池しかいない。この政局は、小池という「鵺」の背に乗らねば勝ち抜けない——。

いまや岸田以下、すべての自民党所属議員がそう考え始めている。まさに小池の思う壺である。

そうした中で、小池がひそかに接触をはかったのが、85歳を迎えた元幹事長の二階俊博だ。

「アンタを担ぐよ」

「小泉進次郎と河野太郎、私の派閥と安倍派の大半が、アンタを担ぐよ」

二階は、かつて自民党を出て結党した保守党に小池を引き入れたのち、自民党入りへの道筋をつけた。小池を権力の中枢へと導いた張本人であり、政界における師だ。

その二階が小池と水面下で話し、先のように進次郎や河野の名前まで挙げて、全面支援を約束したというのである。

二階に関しては3月中旬、「まもなく引退を表明する」という噂も流れた。だが、彼を間近で見る元二階派議員らは「それはない」と否定する。二階にとっても今回の政局は、小池を政界の頂点へと押し上げ、リベンジを果たす最後の機会だからだ。

「すでに二階さんは、歩調をあわせている菅(義偉・前総理)さんを通じて進次郎、河野太郎、元安倍派の萩生田を押さえた。いま注力しているのは、ガタガタになった茂木派にとどめを刺すことだ。二階さんが可愛がる武田良太(元総務大臣)が、茂木派副会長の加藤勝信と密に連絡をとっている。

総裁候補の一角と言われながら、茂木の下で押さえつけられてきた加藤が抜ければ、一気に茂木派は解散だ。二階さんは、加藤を引っこ抜けば茂木を潰せるうえ、小池の『担ぎ手』も増やせて一石二鳥になると考えているんだ」(元二階派議員)

岸田政権では長らく、麻生太郎やその子分の茂木が「主流派」として大きな顔をしてきたが、それももう終わる。まつろわぬ者たちを集めて小池を担ぐ。そして我々が次の「主流派」となる。

それを二階は、自らの最後の仕事と定めたのだ。

裏金問題は吹っ飛ぶ

そんな二階の目論見を実現するには、これまでのように「小池の手下」が出てくるだけでは足らない。小池自身が衆院選に出ることが、絶対条件である。

いや、二階だけでない。前述した萩生田をはじめ、裏金問題の中心にいる者たちは、小池出馬を心底から望んでいる。

「萩生田さんはただでさえ得票率60%台で、選挙が弱い。東京など都市部では、他にも野党の分裂でなんとか勝っている議員が少なくなく、いま解散すればそうした議員は軒並み落選しかねない。

しかし小池さんが出るとなれば、小池さん自身の人気に加えて、東京都議会で都民ファと連携している公明党、小池さんと関係良好な国民民主党や日本維新の会も共闘に乗っかる可能性がある。裏金批判も吹っ飛ぶことはまちがいない」(前出・自民党ベテラン議員)

4月28日投開票の衆院補選で、東京15区の自民党候補はいまだ空白となっている。

「小池がついに、東京15区で出ると決めたらしい」「後任都知事には、特別秘書を擁立するつもりだとか」「当選後、すみやかに自民党へ復党し、9月の総裁選に出る」——。

3月17日の自民党大会後には、浮き足立つ自民党議員らの間で、こうした風説さえまことしやかに流れた。

「腹心」の会合に現れて

いっぽう当の小池は、あいかわらず沈黙を守る。同日には、都民ファ前代表で腹心の都議・荒木千陽の会合に姿を見せたが、いつものポーカーフェイスをつらぬいた。

「小池さんは荒木さんを激励したあと、ひたすら政策について話し、都庁に戻っていった。これだけ待望論が盛り上がっている中で『都知事3期目も変わらずやるつもりですが、なにか?』と言わんばかりの態度でした」(都民ファ関係者)

補選告示の直前まで、小池は真意を秘め続ける。そして小池が口を開いた瞬間に、大動乱の幕が切って落とされるのだ。(文中一部敬称略)

「週刊現代」2024年3月30日号より