「お金が入った封筒を渡され…」 土屋品子復興相に選挙スタッフへの“裏報酬”疑惑が! 「政策担当秘書」と“男女の関係”と地元ではうわさに

“何もしな子”復興相 政治・経済

「お金が入った封筒を渡され…」 土屋品子復興相に選挙スタッフへの“裏報酬”疑惑が! 「政策担当秘書」と“男女の関係”と地元ではうわさに(デイリー新潮 2023年10月04日)

今回の改造内閣で不安視されていた「女性大臣」のボロが早くも表面化している。その筆頭が“何もしな子”復興相だ。兼職届を提出していない“お手伝い”秘書の存在が問題視され、さらに、選挙スタッフには公選法に抵触する「裏報酬」まで握らせていた――。

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「政策決定における多様性の確保が重要だ」

岸田文雄総理(66)がそう胸を張り、鳴り物入りで船出した第2次岸田再改造内閣。女性閣僚は歴代最多タイの5人となった。しかし、それに対して、副大臣と政務官は女性の登用がゼロ。“女性活躍”をアピールした結果、皮肉にも自民党の非「多様性」が浮き彫りになってしまった格好だ。

しかも、その岸田政権の蟻の一穴となりそうなのが、看板娘となるはずの女性大臣の面々だというのだから笑えない。

「今回、岸田さんは来年の総裁選で勝てる構図を作ることを第一に考えました」

とは政治ジャーナリストの青山和弘氏。

「そんな中で政策による適材適所の人事というより、女性大臣が過去最多という“見出し”を取りにいきました。誰でもよかったわけではないでしょうが、任用された5人の女性大臣はポストに適した能力や実行力が不透明と言わざるを得ない。5人という目標ありきだったので、彼女たちが今後資質を問われる可能性もあり、とてもリスクの高い人事だと思います」

「何もしな子」

5人いる女性大臣の中で職務遂行が最も不安視されているのが、土屋品子(しなこ)復興相(71)である。

土屋大臣は春日部市の一部などを含む埼玉13区選出。父はかつて参院議長、埼玉県知事を歴任した故・土屋義彦氏で、知事在職中の2003年、長女・桃子氏が県政を食い物にした結果、政治資金を巡るスキャンダルで東京地検特捜部に逮捕。父の義彦氏も辞職に追い込まれた。その桃子氏の妹が土屋大臣だ。しかし、お嬢様気質が抜けず、何もしてくれないことから地元では「何もしな子」というあだ名で呼ばれる始末。

その土屋大臣について、本誌(「週刊新潮」)が9月28日号で報じたのは、彼女を補佐する二人の秘書の疑惑だった。

男女の関係ではないかと地元でうわさに

ひとりは土屋大臣の側近である政策担当秘書の男性(62)。この男性は妻子持ちでありながら、独身の土屋大臣と常に行動を共にし、国会の委員会の海外視察にもなぜか同行。その際、ホテルの同部屋で過ごしていたことから、かねて“男女の関係ではないか”とささやかれていた。

地元市政関係者が言う。

「品子さんとの関係がおかしいというのは、みな気付いているんじゃないですか。ある時、春日部市の関係者が品子さんと国交省に陳情に行くと彼女に全くやる気がなくて、どこをどう回っていいのか、分からなかった。品子さんが政策秘書に“次、どこぉ?”と聞き、秘書が“こっち”と誘導していて、完全に主導権が秘書にあるように見えました」

集会などで行うあいさつの原稿も政策秘書が担当するそうで、

「品子さんは政策の勉強をしていないので、常日頃から話に中身がないんです。いつも趣味の料理の話と、どこで誰と会った、という身辺雑事の話だけ。そのくせにプライドは高くて、岸田総理の就任後、“総裁選で応援したのにまだポストがもらえないんですよ~”と無邪気に語っていました」(同)

公設第一秘書が古くからの「お手伝い」

もうひとりの疑惑の秘書は、公設第一秘書に名を連ねる女性(60)だ。

国会議員には、国費で給与を負担できる秘書を3人つけることが認められている。政策担当秘書、公設第一、第二秘書だ。一般に公設第一秘書は国会議員会館や議員の地元事務所で議員の活動を補佐する。しかし、実は土屋大臣の公設第一秘書はそもそも、土屋家の「お手伝い」だというのだ。

土屋家を古くから知る支援者の一人が語る。

「彼女は埼玉県の秩父市出身で、40年ほど前、大学を卒業してから、土屋家に家政婦として仕え、住み込むようになります」

春日部市内にある土屋家の大豪邸は義彦氏が08年に亡くなった後、母の栞(しおり)氏と土屋大臣が相続している。敷地面積は3200平方メートルを超え、敷地内には1階部分が300平方メートル超の日本家屋の母屋と土屋大臣が建てた築20年強の洋館がある。

「建物は別々でも中でつながっている造りになっていて、品子さんと栞さん、そして公設第一秘書の少なくとも3人がそこに暮らしています。秘書は母屋の方に部屋が与えられ、いまも住んでいるはずです」(同)

3人目の娘のように…

この秘書は義彦氏、栞氏夫妻に大層気に入られていた。支援者が続ける。

「彼女は大変、料理が上手でして、義彦さんの食事を作ったり、邸宅の掃除をしたり、ひっきりなしに訪れる来客に対応したりなどで、重宝されていました。桃子さん、品子さんに続く3人目の娘のようにかわいがられ、義彦さんが亡くなった後も、高齢になった栞さんの身の回りの世話もしているのです」

近隣住民によれば、

「広大な敷地の中で、土屋家が飼っている黒い大型犬をお手伝いさんがよく遊ばせています。日中はいつも自転車に乗って買い物に行かれていますね」

これだけだとただのお手伝い、家政婦にすぎないが、秘書としての業務も少ないながら行っているという。

「土屋家の公私にわたるカネの管理をしています。ほかの秘書の経費精算や、政治団体への寄付金の管理などもしています」(後援会関係者)

秘書の兼職届を提出していない

確かに、土屋大臣の資金管理団体や自身が代表を務める政党支部の報告書を確認すると、事務担当者に彼女の名前がある。問題は国から支給される給与だ。

「いくらかは土屋家にバックしているんじゃないか。家賃もあるし、電気代だってかかるでしょう」(同)

そもそも彼女は土屋大臣が初当選した96年に公設秘書に就任している。2000年代前半、一時、彼女と入れ替わるように公設秘書になったのが、現さいたま市長の清水勇人氏。

その清水氏に聞くと、

「20年ほど前の話ですからわかりません」

とはぐらかすも、清水氏が県議選に出馬する03年には彼女が公設秘書へと戻っている。

だが、長きにわたる公設秘書と家政婦の二足のわらじは、看過できない事案を抱えていた。土屋大臣が衆議院に提出している秘書の兼職届を確認すると、この秘書についての届け出が見当たらないのだ。

秘書の兼職に関しては、「国会議員の秘書の給与等に関する法律」で定められている。秘書の兼職は原則禁止されており、当該議員が許可した場合のみ、届けを出した上で認められる決まりだ。

衆議院議員課の担当者は、

「たとえ個人事業主の家政婦であっても、秘書以外の『他の職務』になりますので、当然、兼職届を提出する必要があります」

報酬の有無にかかわらず、届けを出していないのであれば同法違反。最近では日本維新の会の国会議員秘書が市議と兼職しながら、届けを出していないことが明るみに出て、大きな問題へと発展した。

“裏報酬”疑惑

9月24日、当の土屋大臣は春日部市内のビルの一室で後援者との集会を開いた。

埼玉県警による物々しい警備の中、黒塗りの車で現れた土屋大臣に問題の公設秘書の勤務実態を尋ねると、

「ちゃんとやっています!」

吐き捨てるようにそう叫ぶと、会場へ吸い込まれていった。

実は土屋大臣にはほかにも知られざる重大な疑惑がある。自身の選挙スタッフへの“裏報酬”だ。

土屋大臣が8期目の当選を果たした21年に提出された選挙運動費用収支報告書を閲覧し、選挙スタッフへの報酬をチェックすると、多くの人がボランティアで参加したことがわかる。例えば、Aさんというスタッフには報告書上、選挙運動という区分で2千円の「労務報酬」が支出されている一方で、収入の部では同じAさんが寄付という形で同額を納めており、備考には「労務無償提供」とある。このような会計処理を行っているスタッフが60人以上も確認でき、彼らはウグイス嬢のような車上運動員ではなく、事務所などで単純作業を行う「労務者」とみられる。

ベテラン秘書が解説する。

「労務者にも報酬は払えますが、帳簿上、収入と支出の額を一致させて、プラスマイナスゼロにし、選挙運動費用収支報告書に記載しているのでしょう。つまり、ボランティアです」

「封筒を渡されたんです」

ところが、報告書のボランティアスタッフを訪ね、取材を重ねていくと、「報酬をもらった」という人物が複数確認できたのだ。

例えば、春日部市に居住し、先の衆院選でボランティアとして従事した女性スタッフはこう証言する。

「2年前の選挙中に1度だけ、ボランティアのつもりで私は伺いました。ただ、その時に秘書の方から、“ご協力ありがとうございました”と、封筒を渡されたんです。金額ははっきりと覚えていないけど、1万円にいかないくらいの額だったと記憶しています。私は“結構です”と申し上げたのに、“そういう意味じゃありませんから”と言われまして……。領収書を切ったかは覚えていません」

また別のスタッフも、

「土屋さんの自宅の敷地内には2階建てのプレハブ小屋が立っており、選挙期間中はそこが事務所になって、行ける時にお手伝いに行っています。お客様にお茶出しをしたり、受付に立ったり、などですね。お手伝いに行くと、いくらかの手当を頂きます。手伝う時間によって金額も変わってきますよ」

報告書を確認すると、このいずれの選挙スタッフに対しても、報酬を支出したという記述は見当たらない。

買収になり得るケースも

逆にこの“裏報酬”を断る選挙スタッフもいた。

「事務所で仕事をした時、封筒で報酬を渡されたけど、ボランティアで少ししか手伝っていないので、中身を見ずに、お返ししました」(別の春日部市在住の女性スタッフ)

こうした事案で想起されるのが、19年、菅義偉内閣で大臣に抜てきされながら、「政治とカネ」の問題で辞任した河井克行元法相の事例だ。妻の河井案里元参院議員が参院選に立候補した際、法定上限を超える報酬をウグイス嬢に支払い、他にも県議らに買収を目的に多額の現金を渡していた。

夫妻が東京地検特捜部に公職選挙法違反で逮捕され、有罪判決を受けたのは記憶に新しい。今回は労務者に“裏報酬”が支払われているわけで、「買収」にもなり得るケースである。埼玉県選挙管理委員会によれば、

「労務者は公選法上、基本日額が1万円以内で超過勤務手当が基本日額の5割以内という定めがあります。一般論として、基本日額を超えた高額な報酬になると買収に当たる可能性はあります。また、報酬について、本来記載すべきものが報告書にない場合、虚偽記載で公選法に抵触する恐れがあります」

「働いた時間によって金額が変わった」との証言

本誌に証言したスタッフは「働いた時間によって金額が変わった」と話している。つまり、法定の報酬上限を超えたことは容易に想像でき、そうでなくとも、虚偽記載で公選法違反となる。

これらの疑惑に土屋事務所はどう答えるか。まず、公設秘書の問題については、

「(公設第一秘書が)土屋邸の家政婦として従事した事実はありません。(秘書は)公設秘書として就労していることを両親に伝えていません」

と、不可解な回答。ならば、両親には家政婦として働いていると伝えているのではないのか。そして、選挙スタッフへの裏報酬については、

「労務者に対して、封筒に入った金銭を報酬として渡した事実はありません」

だが、金銭を渡したことが明白なのは先の証言通り。

父親譲りか、疑惑まみれの女性大臣が日本の中枢に居座っているのだから、なるほど岸田政権の唱える「多様性」もうなずけるのである。

週刊新潮 2023年10月5日号掲載

特集「『河井夫妻事件』の再来 “何もしな子”も選挙の時だけは…『土屋品子復興相』がスタッフに“裏報酬”」より