脳機能の衰えが早い人の「口ぐせ」とは
脳機能の衰えが早い人の「口ぐせ」とは(新刊JP 2023年2月17日 18時配信)
年齢を重ねると、体の機能はどうしても若い頃と比べると落ちていく。
それは運動能力だけでなく、脳機能も同様である。若い頃は“キレ者”と評判だった上司が、定年退職後に合ってみると別人のように老け込んで、言葉がはっきりしなくなっていた、ということは決して珍しいことではない。
ただ、逆に70歳、80歳をすぎても頭ははっきりしたままで、言葉も明瞭に発せられる人もいる。両者の違いは何なのか?
「いつも通り」が脳を衰えさせる
『いつまでもハツラツ脳の人』(和田秀樹著、日刊現代刊)は、歳をとり脳の働きが衰えて「ヨボヨボ脳」になる人と、いつまでもクリアな「ハツラツ脳」でいられる人の行動の違いを解説している。
そのキーワードの一つが「いつも通り」だ。
いつものお店、いつもの道、いつものメニュー。いつも通りは安心する。そして年齢を重ねるごとに、「未経験の何か」よりも「いつも通り」を選ぶようになる。歳とともに、人は新しいことを面倒だと感じるようになるのだ。
しかし、実はこれこそが「ヨボヨボ脳」になる兆しである。人の脳は30代、40代に差し掛かると委縮が生じ、それが脳機能の低下につながっていく。
誰にでも訪れる脳の萎縮。それを遅らせたり、回避するために必要なのが「脳を悩ますこと」。そして脳を悩ませるためには、「初めてのこと」「やったことがないこと」「新しい何かを試すこと」にチャレンジすることが最適なのである。
これらの「未体験」には失敗がつきものであり、そのたびに「どうすればうまくいくか」を考えることになる。仮説を立てて試行錯誤したり、失敗を検証して修正することになる。このプロセスを多く繰り返しているうちは、脳は衰えにくいのだ。
「たいていのことはやらなくても想像できる」
一方で、歳を重ねることで分別らしきものが身についてくる。分別自体は悪いことではなく、自分が道を踏み外さないようにしてくれる道徳観でもある。ただ、これが強すぎると新しいことを始める時の足かせになってしまう。
たとえば、様々な経験を重ねたことで「たいていのことはやらなくても想像できる」とタカをくくって新しいことに挑戦しなくなる人がいる。しかし、想像は決して体験に勝ることはない。
また「この年になってみっともない」「たかが知れてる」といった口ぐせがある人も要注意。これらもまた新しいことへの挑戦を妨げる、ある種の「言い訳」なのだ。
そもそも、新しいことにチャレンジすることの目的が脳の衰えを防ぐことなのだとしたら、(成功を目指すとしても)失敗するか成功するかはあまり重要なことではない。むしろ、大事なのは成功を目指すプロセスにある。失敗したら恥ずかしい、うまくいかなかったら格好悪いという考えは捨てた方がいいのだ。
◇
いつまでも「ハツラツ脳」でいるためには、新しいことにたくさんチャレンジすることが大切だということを紹介したが、やるべきことはもっとたくさんある。本書では、いつまでも脳を若く保つための考え方や行動、人との付き合い方などを解説していく。
長生きを楽しめるのは体や頭が元気なうちだけ。最後まで人生を楽しみ尽くすために、今からやるべきことが本書からはきっと見つかるはずだ。
(新刊JP編集部)
脳の中で一番老化が早い『前頭葉』をトキメキで鍛えて老化予防!
脳の中で一番老化が早い『前頭葉』をトキメキで鍛えて老化予防!(あたまナビ 2020年07月01日)
谷口 由希子
みなさん、こんにちは。
年齢を重ねるごとに、「最近なんだか胃がもたれる」「長時間運動ができなくなった」など体の機能や筋力の低下を感じる方は多いと思いますが、実は加齢により脳の機能も低下していきます。脳の中でも特に『前頭葉(ぜんとうよう)』といわれる部分は他の脳の部位に比べて老化が早く、日常生活の中で症状として現れるため、ご自身でも感じることがあるようです。筆者である私も感じています。今回はその脳の老化による症状と、今日からでも実践できる簡単な予防方法についてご紹介します。
外の世界に興味はありますか?感情の老化は前頭葉の萎縮が原因かもしれません
人間らしさを作り出す「前頭葉」の働き・機能
私たちの脳、特に大脳は脳全体の重さの80%を占める脳で最も重要な部位です。4つの部位にわかれており、それぞれが大事な働きを担っています。そのひとつである前頭葉は読んで字のごとく、あたまの前方にあり、脳の中で最も発達している部分といわれ、体を動かす指令を出す「運動野(うんどうや)」と、思考や記憶、意欲などに関わる「前頭前野(ぜんとうぜんや)」があります。新しい刺激や状況に出会った時に、記憶にある過去の情報と照合し適切な行動を選択するといった、高度で複雑な機能も前頭葉の働きであり、人間らしさを司る部位とよばれます。
感情や意欲の低下には前頭葉の萎縮に原因がある!?
記憶や意欲など感情の働きとも深く関係する前頭葉。実は前頭葉は脳の中で最も老化が早いといわれています。個人差はあるものの、前頭葉の萎縮は40代から見られ始め、さらに60代、70代でさらに進むようです。前頭葉が萎縮すると、相手の感情を推し量ったり、共感したり、感動するといった感情の働きが鈍化、意欲が低下します。感情の平板化(喜怒哀楽の表現が乏しくなる)がおこり、自発性、外の世界に関心がなくなります。また外出しないことで、運動の機会も人との交流も減り、体と脳の機能もさらに弱るようです。最近、外出するのが億劫になっていませんか。新しい発見で「なるほど」!と感心する出来事ありましたか。学びたい、どこかに出かけたいという意欲はありますか。前頭葉の萎縮の進行は、前頭葉の血流をふやすことや刺激を与えることでが有効なようです。続いて予防法をご紹介します。
予防方法1. 前頭葉を活発化 日常にトキメキを感じる、ワクワク感を作る
前頭葉の機能低下を活性化させる方法はとてもシンプルな方法があります。それはトキメキを感じることです。恋愛で人を好きになることだけが、トキメキではありません。前頭葉は、展開がどうなるかわからないことや、思いもよらないことなど先が読めない事が起こると血流が増加し、活発に動くようです。また初めて会う人対面して会話する時は、その人を理解しようと前頭葉が活発に動くようです。毎日のトキメキ、ワクワクは以下のような方法でも感じることができるので、実践してみましょう!
<意外性や非日常に対応することで前頭葉を活性化させる方法例>
・いつもと違う新しい散歩ルートを開拓する
・いったことのないお店でランチや買い物をする
・買ったことのない珍しい食材を探して(例ロマネスコ、ロケット)料理をする
<考えを固定化しない、新しい分野を理解しようとすることで前頭葉を活性化させる方法>
・普段読まないジャンルや作家の本を読む、映画を見る
・先の読めない大どんでん返しの映画やドラマを見る
・今、興味を持っている事について調べる
・新しい趣味をみつけ、サークルに参加して、人と交流する
予防方法2. 脳を20歳の時の状態にする治療法『ライフビュー』(回想法)
たとえ今は前頭葉が萎縮し始めている年齢でも、20歳の時の記憶は海馬の中に深く潜んでいます。当時自分が熱中したことなど、自分の人生を語ることで20歳の時の脳の状態をつくり、ワクワク、ドキドキが戻ってくるそうです。
『ライフビュー』(回想法)とよばれる認知症の治療は、認知症患者が①過去の体験したことを思い出す②過去のことを振り返る③その内容を第三者に語る。この方法で過去と今の自分を受け入れることができ、未来に希望が持てるようになるそうです。ゲームのような勝ち負けを競う脳トレではないため、尊厳を保つことができる治療です。以下のような方法でライフビュー(回想法)を実践してはどうでしょうか。
・昔の写真をみて思い出を振り返り、語る
・かつて熱中していた趣味をもう一度やってみる
・昔好きだった音楽を聴いてみる(参考:パーソナルソングについての記事)
まとめ
誰にでも10代、20代歳の記憶は確かにあります。その記憶を引き出すライフビュー(回想法)による治療法の研究が進んでいるのは興味深いですね。
私の母は旧御三家の1人が大好きで、中学生の頃に、学校を休んでコンサートに行ったそうです。今度の休みはそのプロマイド写真を購入し、母にトキメキをプレゼントして、母の脳の若返り作戦を決行しようと思います。