電気代高騰を避けられる再生エネ電力契約「PPA」に脚光 PPAのメリットとデメリット

コーポレートPPA 科学・技術

電気代高騰を避けられる再生エネ電力契約「PPA」に脚光、花王もセブンもイオンでも…

花王もセブンもイオンでも…電気代高騰を避けられる再生エネ電力契約「PPA」に脚光(東京新聞 2022年6月3日 06時00分)

再生可能エネルギーによる電力を企業が長期間、固定価格で購入できる「コーポレートPPA(電力購入契約)」の取り組みが脚光を浴びている。エネルギー価格の高騰で電気代が上がる中、電気代が変動するリスクを避けられるPPAの魅力は高まっており、再エネを積極的に導入したい企業の採用が増えてきた。

 コーポレートPPA
太陽光などの再生可能エネルギーの発電事業者が、顧客企業などに対して、10〜20年程度の長期で電力を販売する契約。日本では、発電事業者が顧客から借りた土地や建物に太陽光パネルを設置し、その電力を販売する「オンサイト型」が多いが、設置場所の制約のない遠隔地でつくった再エネ電力を販売する「オフサイト型」も増えてきた。

太陽光発電のコスト低下で

「今の環境下でPPAをやらない理由がない」。再エネ電力を調達・販売する小売り電気事業者(新電力)のアップデーター(旧社名=みんな電力、東京)の三宅成也せいや専務は言い切る。

PPAは、太陽光など再エネの発電事業者と電気を使う企業などが、小売り事業者を介して契約する仕組みだ。米国や欧州を中心に導入が進むが、日本でも注目が高まってきた。

理由は価格面の優位さ。PPAは、新設する太陽光パネルの設置・管理は発電事業者が行うため、電力を買う企業側の初期費用は基本ゼロ。加えてこの10年で日本の太陽光発電のコストは大幅に下がった。三宅氏は「化石燃料は先高観があり、PPAのコスト競争力が増している」と話す。

「『長期、固定価格』のメリット感じる」

さらにPPAは、10〜20年程度の長期にわたって固定価格で電力を購入する契約が多く、現在のように電気代が高騰しても、その影響を避けられる。

花王は今年2月から本社ビル(東京都中央区)で使う電力の約3割をPPAの再エネで賄う。担当者は「昨今の電力価格高騰で『長期、固定価格』のメリットを強く感じている」と説明する。PPAによる調達価格は従来の電力契約とほぼ同水準というが、電気代の高騰が長引くほど、PPAの優位性が増しそうだ。セブン&アイ・ホールディングスやイオンなどもPPAを採用した。

自然エネルギー財団の石田雅也シニアマネジャーは「再エネ電源を新設するPPAは二酸化炭素(CO2)削減に直接効果があり、環境意識の高い企業を中心に今後増えていく」と予想する。

コーポレートPPA(電力購入契約)の導入例

再生エネ電力を安定調達、日本でも増える「PPA」 背景にFIT制度の曲がり角

再生エネ電力を安定調達、日本でも増える「PPA」 背景にFIT制度の曲がり角(東京新聞 2022年6月3日 06時00分)

欧米に続き、日本でも再生可能エネルギーの電力を安定的に調達できるコーポレートPPA(電力購入契約)が増えてきた。背景には、これまで再エネの普及を後押ししてきた固定価格買い取り制度(FIT)が曲がり角にあるという実態がある。

コーポレートPPA(電力購入契約)

FITで急拡大の太陽光、近年は鈍化

2012年7月に始まったFITは、再エネの電力を、比較的高い価格で長期にわたって電力会社が買い取る仕組み。短期間で太陽光パネルが設置しやすい太陽光発電は急拡大し、発電量全体に占める太陽光の比率は11年度の0.4%から、20年度には7.9%に増えた。

一方で、再エネの買い取り費用は電気料金に上乗せされ、導入量に応じて上がってきた。当初は一般家庭(月平均260キロワット時程度使用)で700円に満たなかった年間負担額は、現在1万円を超えている。

政府は国民負担を抑えるため、太陽光の買い取り価格を年々引き下げてきた。ただ高値で買い取られなくなったことで、ここ数年、太陽光の新規導入のペースは鈍っている。

「脱炭素」に向けて、政府は30年度に再エネ比率を現在の約2倍となる「36〜38%」に高める目標を掲げている。この中で太陽光も倍増させる方針を示しているが、国民負担増への配慮から、その拡大にブレーキをかけている格好だ。

再生エネ増加へ、直接貢献の強み

コーポレートPPA_オンサイト型のイメージ

しかし、FITに頼らないPPAは、国民負担を抑えつつ、太陽光などの再エネを増やせる可能性を秘める。PPAは再エネの電源を新設するため、純粋に再エネが増える「追加性」がある。

一般的な電力会社の再エネ料金プランは既にある太陽光や風力、水力発電所などの電力を使っており、再エネの量を直接増やす効果はない。二酸化炭素(CO2)の削減に直接寄与できることもPPAの特長だ。

ただ、現状日本のPPAで導入できる再エネは太陽光のみ。多くても使用量全体の3割程度しか賄えず、不足分の電力は別途調達する必要がある。契約期間が長期のため、その間に事業所を移転したい場合などには足かせとなる恐れもある。

太陽光発電のPPAモデルのメリットとデメリット

太陽光発電のPPAモデルとは?仕組みやメリットについて(グリラボ 2022.02.28)より抜粋

PPA(Power Purchase Agreement:電力販売契約)モデルとは、PPA事業者と契約することで、太陽光発電システム設備を初期費用ゼロで導入でき、メンテナンスもしてもらえる仕組みです。

さらに、契約期間が終わった後は、設備を譲り受けられます。その代わり、契約終了までの間、利用者はPPA事業者に利用した分の電気代を支払います。また、事業者によっては契約延長も可能です。

PPAモデル

PPAモデルは「第三者所有モデル」とも呼ばれ、PPA事業者が需要家(=企業、個人)の敷地や建物のスペースに、無償で太陽光発電設備を設置、維持管理して、電気を供給する仕組みです。

メリット

・設備導入とメンテナンスの費用をかけずに太陽光発電設備を導入できる。
・太陽光発電の電気を使うことで、電気代を節約できる。
・CO2排出量を減らすことで、企業のイメージアップや投資を呼び込む効果を期待できる。

デメリット

・契約期間が通常10~15~20年間と長い。
・気候条件や設置条件によっては、導入ができないことがある。契約を断られることがある。

自己所有型

自己所有型は、自社で太陽光発電システムを導入して、維持管理していく方法です。当然ながら多額の初期費用がかかり、メンテナンス費用も負担しなければなりません。

メリット

・長期間順調に稼働すると、他の方法より投資効率が高くなる。
・余剰電力を売って収入を得られる。

デメリット

・設備導入とメンテナンスの費用負担が大きい。
・資産計上するので財務指標に影響が出て手続きが面倒。

従来は売電収入を目的として、太陽光発電システムを自社設置する企業がほとんどでした。しかし、現在は買い取り価格が下がってきているため、利益を出しにくくなりました。PPAモデルが人気になっている背景には、このような事情もあります。

リース

リースはリース事業者から太陽光発電システムを借りる方法です。基本的にはリース料にメンテナンス費用も含まれているので、故障や交換が発生しても追加費用は発生しません。

メリット

・設備導入とメンテナンスの費用をかけずに、太陽光発電設備を導入できる。
・余剰電力を売って収入を得られる(FIT活用時)。

デメリット

・月々のリース料が発生する。
・リース資産として計上しなければならない。
・契約を終了すると何も残らない。

リースはPPAモデルと似ていますが、あくまで設備をレンタルし、その費用を支払っているところが違います。したがって、太陽光発電システムで創った電気は無料で利用でき、売電も可能です。