アジア版NATO議論、石破氏提唱で注目 中国「理性的な対中政策望む」 米政府は「時期尚早」

中国は、台湾問題に対する姿勢に早速注文をつけました。 政治・経済

中国「理性的な対中政策望む」 日本との関係発展訴え…自民総裁選・海外反響

中国「理性的な対中政策望む」 日本との関係発展訴え―自民総裁選・海外反響(時事通信 外信部2024年09月27日19時24分配信)

中国外務省の林剣副報道局長は27日の記者会見で、自民党総裁に石破茂元幹事長が選出されたことを受け「前向きで理性的な対中政策を実行するよう望む」と述べた。石破氏は中国を念頭に防衛力強化を訴えており、中国側は石破氏の出方を慎重に見極めるとみられる。

林氏は「客観的で正確な対中認識を打ち立てる」ことを求めるとともに、「中日関係の持続的で安定的な発展を進めるよう望む」と訴えた。石破氏が8月に超党派で台湾を訪問し頼清徳総統らと面会したことに関しては、「日本の政治家の(台湾)訪問に一貫して反対だ」とけん制した。

石破氏は日米などによる「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」の創設を唱える。中国の習近平政権にとっては、「核心的利益の中の核心」と位置付ける台湾の統一や、領有権を主張する東・南シナ海への進出の妨げになりかねない。

中国軍は8月以降、日本周辺で領空侵犯や領海侵入を繰り返している。今月18日には空母「遼寧」が沖縄県沖で接続水域に入った。

一方で中国は、東京電力福島第1原発の処理水放出を受けて停止している日本産水産物の輸入再開で日本側と合意した。だが、広東省深センで起きた日本人学校男児刺殺事件では真相解明に消極的なままだ。今後の石破氏の姿勢を注視し、停滞した日中関係の打開に動くか判断するとみられる。

米政府、アジア版NATO議論は「時期尚早」 石破氏提唱で注目

米政府、アジア版NATO議論は「時期尚早」 石破氏提唱で注目(毎日新聞 2024/9/27 18:31 最終更新 9/27 23:41)

米国では、27日の自民党総裁選で勝利して次期首相となる石破茂氏が、日米韓などでつくる「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」を提唱したことが注目されている。

米政府は、安保体制参加国が国家の安全を相互に保障する「集団安全保障」の議論は、アジア太平洋地域では「時期尚早だ」(クリテンブリンク国務次官補)との立場をとる。石破氏が主張する日米地位協定の見直しも、米側では必要性が十分認知されているとは言いがたく、まずは議論の土台作りが求められそうだ。

「“対等ではない”日米同盟の見直しを望む日本の新首相は、米政府との緊張の可能性を予感させる」。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、総裁選に関する速報記事の冒頭で、石破氏をこう評した。ワシントン・ポストは「中国や北朝鮮の脅威に対抗するためにアジア版NATO(の創設)を望んでいる」と紹介した。

米国のエマニュエル駐日大使はX(ツイッター)への投稿で石破氏に祝意を表し「新首相と共に日米同盟を強化し、さらに緊密な日米関係を築いていくのを楽しみにしている」と述べた。

防衛相経験者の石破氏は安保政策に精通する。米国内に自衛隊の常設訓練基地を作る案や、在沖縄の米軍基地を自衛隊が共同管理する案を提唱するなど、米国にも新たな「難題」を突きつけている。だが、米国は中国との戦略的競争を最も重視し、こうした議論の優先度は高くない。

米国は11月の大統領選を経て、来年1月には新政権に移行する。民主党のハリス副大統領が同盟国重視の現路線を継承するか、同盟国にも負担増を求める共和党のトランプ前大統領が復権するかによって、状況は大きく異なる。

当面、米政府は日本の新首相と関係構築を図りつつ、石破氏の持論にどう向き合うかは米国での新政権発足後に検討するとみられる。【ワシントン秋山信一】