長く続いた自民1強も政治とカネから支持率最低水準へ…2024年、政治の構図に変化は起こるか?

自民党本部 政治・経済

長く続いた自民1強も政治とカネから支持率最低水準へ…2024年、政治の構図に変化は起こるか?(東京新聞 2024年1月3日 12時00分)

2024年は自民党・公明党が政権に復帰して12年を迎える。第2次安倍政権以降、長らく自民1強時代が続いているが、昨年末には派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題が事件に発展。内閣支持率は政権復帰以降の最低水準に陥り、政権維持を危ぶむ声もある。前回の政権交代から干支(えと)が一巡する今年。衆院解散・総選挙で国民の審判を仰ぐべきだとの指摘もあるが、政治の構図に変化は起こるのか?(曽田晋太郎)

旧民主党の政権交代は3年余で終焉

「従来、次の選挙でしっかり議席を伸ばし、その次に政権にチャレンジすると言っていたが、その考えを私は捨てている。次の選挙こそ、勝負だと考えている。国民の政治に対する不信感をみていても、今こそ立憲民主党が前に出て、政権を目指す。それが来年だ」

昨年12月28日。立民の岡田克也幹事長は、党の仕事納めのあいさつでこう強調した。

09年、旧民主党は衆院選で大勝し政権交代を実現した。しかし、米軍普天間飛行場の移設を巡る混乱やマニフェストに掲げた主要政策の頓挫などがあり、わずか3年余で下野。その後、旧民主の流れをくむ勢力は離合集散を繰り返し、与党に対抗する「大きな塊」とはなれず、政権批判の受け皿にもなりきれていない。

ただ、自民の政治資金を巡る事件が表面化したことを受け、旧民主の系譜を引く立民は、ここに来て政権奪還に向けて意気軒高だ。

野党連携、勝負をかけられるか?

民主党政権で厚労相を務めた立民の長妻昭政調会長は取材に「われわれが政権を取るということもあるが、カネに汚い政治を変える、今やらないともう永久に変えられないという意味で09年以来の絶好のチャンスだ」と語る。一方で「政権を担った時にちゃんと運営できるか、国民に懸念があるのは事実。民主党政権の反省点はいっぱいあり、そこをきちんと説明して実感を持ってもらう」とする。

その上で、「どの国でも与党の失敗がセットにならないと政権交代は起こらない」と指摘。1月下旬に召集が見込まれる通常国会で、自民に「政治とカネ」を巡る改革を迫り、共感する他の野党とも連携して「勝負をかけることで、展望は開ける」と力を込める。

対する自民党。先月の報道各社の世論調査で岸田内閣の支持率はおおむね10%台半ば~20%台半ば。共同通信の調査では、内閣支持率は22.3%で政権復帰後の過去最低を更新した。

こうした中、岸田文雄首相は「政治資金に関し、国民に疑念が広がっていることに深刻な危機感を感じなければならない」とし、年明け早期に党の信頼回復に向けた改革組織を設置すると表明。政治資金規正法改正の可能性にも言及した。

自民に逆風=野党の躍進、となっていない現実

ただ、自民に逆風が吹く状況ではあるが、野党の支持率も伸び悩む。先月の共同通信の調査では、政党支持率は自民が26%、次いで日本維新の会が12%、立民はそれに次ぐ9.3%だ。

野党時代も知る自民のベテラン議員は「政権復帰から12年もたつとおごりも出てくる。09年と似た状況だが、違うのは野党に期待感がないことだ」と指摘。「国民も民主党政権の失敗を受け、もう彼らには政権は任せられないとの思いだろう。今の自民は二度と野党になりたくないとの思いが強い。課題はたくさんあるが、最後は自浄作用が働き、まとまる」と強調する。

野党に政権奪還の術(すべ)はないのか。東北大大学院の河村和徳准教授(政治学)は「歴史的に見て政権交代が起こる時は地方で勝って国政へという流れがある。野党は世代交代を進めて新鮮さを打ち出し、地方選、特に首長選で勝って足腰を固めなければ盤石に政権交代はできない」と指摘。その上で「政治資金問題で今のシステムを変える有効な対策が示せなければさらに厳しくなる」とも語る。