公明が自民を裏切り、維新と「選挙協力」の現実味…両党の思惑合致でバーター成立

公明党の山口那津男代表(左)と日本維新の会の馬場伸幸代表(右) 政治・経済

公明が自民を裏切り、維新と「選挙協力」の現実味…両党の思惑合致でバーター成立(日刊ゲンダイ 公開日:2023/05/30 06:00 更新日:2023/05/30 06:00)

衆院東京28区の「候補者調整」が決裂し、対立がヒートアップしている自民党と公明党。

公明党の石井幹事長は「東京における自公の信頼関係は地に落ちた」──と自民党の茂木幹事長に伝え、東京での“選挙協力の解消”を通告している。となると、1選挙区に約2万票あるとされる公明票は、どこに流れるのか。「公明は維新と選挙協力するつもりじゃないか」という見方が強まっている。

もし、公明党が自民党を裏切り維新候補に協力したら、東京の自民党は総崩れとなっておかしくない。

■バーターは成立

「公明と維新が手を組む可能性は高いと思う。バーターが成立するからです。東京の選挙区では公明が協力し、関西の選挙区では維新が協力する──という取引です。いま公明党は、大阪(4)と兵庫(2)に合わせて6つ議席を持っている。維新の看板政策である『大阪都構想』に協力するのと引き換えに、維新が独自候補の擁立を見送ってきたからです。ところが、維新は『公明との関係をリセットする』と表明している。維新に対抗馬を立てられたら、6つとも公明は勝てないでしょう。いままで通り、候補を立てないで欲しいと考えているはずです。一方、維新は、次期衆院選では、東京の全30選挙区に公認候補を擁立し、獲得目標は8議席としています。しかし、前回、維新は小選挙区では1議席も取れなかった。喉から手が出るほど東京の公明票が欲しいはずです」(政界関係者)

すでに維新は、公明党に譲歩する余地があることをにおわせている。維新の馬場代表が、月刊誌「Hanada」(7月号)のインタビューでこう語っているのだ。

<では、先に述べた関西の六つの選挙区についてはどうか。正直申し上げて、維新が候補者をたてれば議席をお預かりできる可能性は極めて高いと思っていますが、これらの選挙区については近々、吉村大阪府知事と横山大阪市長とも話をしたいと考えています>

少なくとも門前払いではない、ということだ。

「公明党は状況によって組む相手を代える、融通無碍な政党です。たとえば都議会です。国政で連立を組む前から“自公体制”を築いてきたのに、小池知事が率いる都民ファーストが勢力を伸ばすと、都議会自民を切り捨てて都民ファーストと組み、都民ファーストが失速すると、また自民と組んでいます。維新とバーターすることに抵抗はないはずです」(自民党事情通)

これこそ野合なのではないか。