地下水から暫定指針値の420倍、住民の血液にも…PFAS対策を環境省に要望 大阪の市民団体

環境省の担当者に署名を手渡す市民団体の谷口武事務局長(左から2人目)=8日 社会

地下水から暫定指針値の420倍、住民の血液にも…PFAS対策を環境省に要望 大阪の市民団体(東京新聞 2023年3月8日 21時04分)

発がん性の疑いがある有機フッ素化合物(PFASピーファス)を巡り、大阪府摂津市の市民団体が8日、同市内の土壌汚染や健康被害を調査するよう求める要望書を2万3788人分の署名とともに環境省に提出した。大阪府などによると、ダイキン工業(大阪市)の摂津市内の工場がPFASの一種PFOAピーフォアを大量に排出し、周辺の地下水や用水路から高濃度のPFOAが検出されている。

大阪府が2022年8月に実施した調査では、摂津市内の地下水から最大で1リットル当たり約2万1000ナノグラム(ナノは10億分の1)のPFOAを検出。国が定める暫定指針値の420倍に相当する。京都大の原田浩二准教授らの調査によると、地元住民の血液や農作物には高濃度のPFOAが含まれていた。

要望書では「市内の地下水が農業用水として利用されている」として、土壌汚染や地域住民全体に対する健康被害の調査などを求めた。市民団体の谷口武事務局長は「PFASは目に見えず、市民から不安の声がたくさん寄せられている」と語った。

PFAS汚染は、全国の米軍施設や工場周辺で深刻化。東京都多摩地域では米軍横田基地の周辺で、水道水に利用する地下水から高濃度で検出され、都水道局の井戸34本が取水停止となっている。