山際大臣が3500万円超の余剰選挙資金を“裏金”に? 闇に消えた金の行方は…ベテラン議員は「不可解な収支」(デイリー新潮 2022年10月19日)
1回で約1780万円の余剰金が
10月17日の予算委員会で野党のターゲットとなった山際大志郎経済再生担当相(54)。これまで再三指摘されてきた統一教会との関係などを追及されたが、本誌(「週刊新潮」)が取材すると、さらに選挙にまつわる疑惑も。毎回の選挙で多額の余剰金が発生し、その額は過去5回の選挙で3500万円にも上るのだ――。
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過去に行われた衆院選で山際大臣が提出した選挙運動費用収支報告書を確認したところ、毎回、選挙資金の支出に対し、収入が上回り、多額の余剰金があるのがわかった。中でも、突出して“黒字”となったのは、2017年の選挙。その年の報告書では収入約2301万円に対し、支出は約756万円。この支出の中には、ビラやポスターの作成代など公費で賄われるものもあるため、その分を差し引くと、約1780万円もの余剰金が発生していることになるのだ。
選挙制度に詳しい日本大学名誉教授の岩井奉信氏はこれについて、制度上の問題としつつ、こう解説する。
「選挙運動の余剰金については、公職選挙法で処理に関する規定が何も定められていません。極端な話、何に使ってもいい、ということになってしまっています。しかし、選挙資金は広い意味で政治資金でもあるわけですから、余剰金は本来、各議員の政治団体に戻して、収支の透明化を図らなければなりません」
実際に例えば故・安倍晋三元総理や菅義偉前総理の政治資金収支報告書を見ても、収支の額はきちんと合わせてあるのだという。
原資は税金
なぜ山際大臣はこれほどの余剰金を作ることができたのか。この17年の選挙の場合、なぜか、政党支部から大臣本人に「寄付」という形で1500万円もの資金が移動しているのだ。政党交付金使途等報告書で確認すると、その1500万円はすべて政党交付金、つまり税金で賄われていることがわかる。
政党支部から1500万円の税金を本人の選挙資金として計上したのにもかかわらず、実際の支出はその半額程度。余剰金約1780万円は帳簿上、そのまま闇に消えた、となるのだ。
ベテラン議員も「1500万円以上の余剰金は聞いたことがない」
これに対し、「あまりにも額が大きく、不可解な収支」と首をかしげるのは自民党のベテラン議員。選挙余剰金については、ここ数年メディアで指摘されることが多く、余った額は政党支部や自身の政治団体に移すのが自民党内でもスタンダードになっているという。また、数百万円ならともかく、「さすがに1500万円以上の余剰金というのは聞いたことがない」と話す。
「普通は、政治資金収支報告書に記載したくない会合の支払いや、地元の市議県議への見舞金などに使われます。要は裏金。これが議員自身の懐に入って議員の収入になったとしても、納税の義務はありません。完全に抜け穴となるのです」(同)
選挙余剰金について山際事務所は、
「法令に従い適正に収支報告書に記載しているところです」
と何の問題意識も感じられない回答だった。10月20日発売の「週刊新潮」では、岸田文雄総理側から進退を問いただされた山際氏の反応、さらに統一教会問題をめぐる河野太郎大臣の思惑などと併せて詳しく報じる。
週刊新潮 2022年10月27日号掲載