【品川区長選】開票結果、法定得票達せず再選挙へ、6候補者の素顔

品川区長選挙 立候補した6人の素顔 政治・経済

品川区長選は再選挙へ 6候補、法定得票達せず 特別区長選で初めて 首長選では全国7例目

品川区長選は再選挙へ 6候補、法定得票達せず 特別区長選で初めて 首長選では全国7例目(東京新聞 2022年10月2日 23時35分)

任期満了に伴う東京都品川区長選は2日、投開票された。無所属5人と諸派1人の6新人が争ったが、いずれも法定得票(有効投票総数の4分の1)に達せず、当選者が出なかった。公職選挙法の規定に基づき、異議申し出期間(14日間)を経て50日以内に再選挙が行われる見通しとなった。(井上靖史)

総務省によると、全国の首長選で、再選挙となるのは2017年の千葉県市川市長選以来、7例目。特別区長選では初めてとなる。当日有権者数は33万516人。投票率は35.22%で、前回より2.51ポイント増えた。

4期目の現職が勇退し、16年ぶりに新人同士の選挙戦となった。東京23区の選挙に区長公選制が復活した1975年以降、同区では職員出身の助役(現副区長)経験者が区長に選出され続けた。今回、職員出身の「後継者」は擁立されず、「節目の選挙」として6人が名乗りを上げた。

日本テレビ元記者で前都議の森沢恭子さん(43)に、勇退する現区長が支援の姿勢を見せるなどしたのに対し、自民推薦の元区議の石田秀男さん(63)は石原宏高衆院議員らが後押し。元銀行員の山本康行さん(46)は地元の松原仁・立憲民主衆院議員が支援し、票が分散した形。公明は自主投票を表明していた。

これまでの区政を継承するかどうかや、羽田空港(東京都大田区)の着陸機が都心上空から降下する新ルートへの対応、駅前や区役所庁舎の再開発などを主な争点に論戦が交わされた。

品川区長選挙 開票結果(全票終了)

事由:任期満了
投票日:2022年10月02日、告示日:2022年09月25日
有権者数:330,516人
投票率:35.22%、前回投票率:32.71%

開票結果

27,759 票森沢恭子43歳無新前・東京都議会議員
26,308 票石田秀男63歳無新前・品川区議会議員、会社社長
24,669 票山本康行46歳無新元・三菱UFJ銀行員
18,559 票西本貴子61歳無新前・品川区議会議員
8,279 票村川浩一75歳無新大学講師
7,821 票大西光広65歳諸新会社顧問、元区議

激戦の品川区長選挙 立候補した6人の素顔

激戦の品川区長選挙 立候補した6人の素顔は… 10月2日投開票(東京新聞 2022年9月27日 20時09分)

趣味はママ友らとヨガ 森沢恭子さん

日本テレビ記者や総合デベロッパー森ビルの広報担当などさまざまな職種を経て結婚、出産。再び働きたいと思った7年前、保育所に子どもが入れず、フルタイム以外では正社員が働きにくい課題にも直面した。

程なくして都政に小池百合子知事が誕生。課題解決を期待し、政治塾の門をたたいた。「女性議員を増やしたい」。2017年の都議選で都民ファーストの会から初当選。その後離党し昨年、無所属で再選した。

都議の5年間、女性活躍に加え、障害者ら「世間的に少数の方々が抱える課題を中心に取り組んできた」と胸を張る。コロナ下で保育サービスなど「より現場に近い課題が増えた」と感じ、区政転向を決意した。

街頭活動は2人の子を学校へ送り出した後の朝8時以降が中心。「持続可能な政治家像」も模索している。趣味は同じマンションのママ友達らと楽しむヨガ。

家族全員が野球経験者 石田秀男さん

北品川で祖父が興した材木店に生まれた。3代目として家業を継ぎ、建築や不動産にも事業を拡大。現在は材木店を合併した建設会社社長を務める。郷土の魅力について「世界屈指の長さの商店街がある。水辺や旧東海道も財産」と説く。

1999年から区議6期。政治に関心があったわけではないが、地域の先輩議員から「後継に」と請われ「街の代表として声を届けよう」と自然体で続けてきた。新型コロナ下、「スピード感を持った政策の遂行が必要」と感じるようになり、区長挑戦を決意した。

東海大高輪台高では硬式野球部。妻と2男2女の家族全員が野球経験者という野球一家だ。区内に五輪のホッケー場を整備するため、公営野球場がつぶされる計画が浮上した際は署名活動を展開。組織委員会に掛け合って閉鎖を阻止し、ホッケー場と共存させた。「実績だと思う」と胸を張る。

マンション管理で手腕 山本康行さん

15年前、結婚を機に品川の大崎へ転居した。暮らしやすく、ほどなく区内にマンションを購入。「品川の街に愛着がある。さらに発展させ、子育て、住みやすさ日本一の街にしたい」と立候補の理由を話す。

東大を卒業し、三菱UFJ銀行に8月末まで21年間勤めた。主に不動産の資産運用を担当。出向先の三菱地所で、東京駅前の大規模再開発にも携わった。

銀行の退職を不安がる妻に「政治もありかも」と思わせたのは居住するマンション管理組合で見せた手腕。副理事長や理事長を務め、住民をまとめ大規模修繕を成した。空いた駐車場のリースで収益も増やした。

趣味は中学、高校と打ち込んだバスケットボール。「地元にあれば盛り上がる」と、2年前にアリーナ整備を求めて署名活動をしたのが政治に触れる発端だ。息抜きは週末に2人の息子とするバスケという。

テニスでストレス解消 西本貴子さん

30年前、保育事情が優れていると評判だった品川区へ転居してきた。だが手厚いサービスは経費もかさむとして、やがて赤字解消のためにサービスが削られる時代に直面。区と保護者らとの溝も深まる中、3人の子を育てる母として「対立ばかりでもダメ。橋渡し役に」と区議を志願した。

2003年の初当選から5期。子育てや教育、福祉問題を中心に活動してきた。無所属で活動し続けており「しがらみが全く無い。本当に困っている声をすくいとって政策の優先順位を決められる」と強調する。

4年前に続く区長選。現在の区政を「国や都の方針にならったトップダウン型」と批判し、「もっとSNS (交流サイト)などを活用しながら区民ニーズを把握するボトムアップ型へ転換するべきだ」と訴える。

趣味は舞台鑑賞とアイドルのライブ。定期的なテニスで体も動かしている。

一貫して福祉に携わる 村川浩一さん

「福祉の専門家」としてメディアに登場する。生活保護を担当した川崎市職員時代をはじめ、出向した旧厚生省、教授に転身した日本社会事業大と一貫して福祉に携わってきた。都内自治体で福祉関係の審議会委員を務めたことも数多い。

慶応大の学生時代、低所得者らを対象にした社会政策を学んだ。川崎市職員として福祉の現場も見て「問題が多い。今後、大事な分野になる」と直感。自ら左目が弱視であることも福祉にこだわる理由という。

生まれも育ちも品川区。出馬の最大の理由は羽田空港の着陸機が区内を低空飛行する新ルートを撤回させたいからだ。「みんなうらめしそうに空を眺めている」と憤る。地域包括支援センターが区内に1カ所しかないなど福祉施策も「根本的な転換が必要」と話す。

趣味は、仕事が一段落した約10年前に始めたカンツォーネ歌唱と音楽鑑賞。

日々政治に頭巡らせる 大西光広さん

2003年以降、かつての自由党やみんなの党公認で品川区議に3回当選。ストレスで体調を崩し、腎移植などの大手術も経験した。15年から政治とは離れていたが、「十分な休養を得て体調が回復した。区民の行政相談は今もある。お役に立ちたい」と今回、出馬を決意した。

現区政で特に納得できない施策が400億円以上を投じる新庁舎への建て替えだ。「民間マンションなどと複合化させ、区の負担を抑えた事例が他区にある」と訴える。保護者の負担軽減を考慮し、ユニクロなどの既製品を学校制服として許可する政策も掲げる。

区議時代は「駅前の放置自転車問題をただし、駐輪場整備につなげた」と実績を話す。現在、政治団体「品川に維新を起こす会」代表で、趣味は「報道番組を見ること」と日々、政治に頭を巡らせる。息抜きは飼い犬2頭との散歩。