南房総の民間会社がラム酒の蒸留所開設 新規事業でCF立ち上げ

導入した蒸留器の前でラム酒を手に青木さん=南房総 社会

南房総の民間会社がラム酒の蒸留所開設 新規事業でCF立ち上げ(房日新聞 2022年09月25日 03時00分)

南房総市千倉町南朝夷の古民家を改修し、ラム酒を製造する「房総大井倉蒸留所」が誕生した。サトウキビ生産で耕作放棄地を活用、ラム酒「BOSO」による地域ブランド醸成を目指す事業。長屋門を使った新たなプロジェクトが立ち上がり、クラウドファンディング(CF)=QRコード=で支援を呼び掛ける。

QRコード_ラム酒「BOSO」

同市千倉町北朝夷の飲食業、青木大成さん(48)が昨年8月に起業した「ペナシュール房総」が、青木さんの親戚から譲り受けた物件の一部(25坪)を事業再構築補助金を活用して蒸留所に。特性の異なる2基の蒸留器を導入し、1基は県内のメーカーから購入、もう1基はオリジナルで設計した。今年7月6日にスピリッツ製造免許を取得し、8月15日に蒸留が始まった。

続いて、長屋門の蔵を原酒の樽詰めを保管する熟成庫に、2階スペースを試飲室兼コミュニティースペースに改修するプロジェクトを開始し、1000万円を目標金額にCFで寄付を募る。現在、製造中のラム酒などが各種返礼品となっている。

青木さんは、幼少期にサトウキビを食べた記憶があり、地元の高齢者の聞き取りや地域団体「南総サトウキビ生産の会」との出会いから関心を高め、平成30年に仲間と栽培を開始した。

一連のラム酒製造のビジネスプランを構想し、「ちば起業家ビジネスプラン・コンペティション2020」で大賞(県知事賞)を受賞。その後、農業法人きびラボ(三瓶幸雄代表)を立ち上げ、千倉地区の花畑エリアの耕作放棄地を中心に栽培面積を2ヘクタールに拡大。無農薬栽培で「草刈りが大変」と苦笑しつつも、順調に生育しているという。

「ラム酒は飲むだけでなく、お菓子に多く使われる原料。できるだけ多くの地域の菓子店とコラボをしてブランドを高めたい」と青木さん。現在の蒸留は、前年までに収穫したシロップからつくる製法「ハイテストモラセス」で、今年11月からの収穫分は産地でしかつくれない希少な製法「アグリコール」にも挑戦。返礼品以外の流通は来年春からを予定している。