今日の出来事(2022年8月5日) 警戒を強める日米、対抗先鋭化の中国 岸田首相・ペロシ氏が会談

警戒を強める日米、対抗先鋭化の中国 岸田首相・ペロシ氏が会談

朝食会の前に握手をして記念撮影する岸田文雄首相とペロシ米下院議長

台湾を訪問した米国のペロシ下院議長(民主党)は4日夜に日本に到着し、5日に岸田文雄首相との朝食会に臨んだ。日米両国は中国が大規模な軍事演習に踏み切ったことへの警戒を強め、連携の確認を急いでいる。一方、中国外務省は5日、米国との軍同士や気候変動に関する対話を停止すると発表しており、対抗措置を先鋭化させている。

首相公邸で開かれた朝食会は、木原誠二官房副長官や中谷元・首相補佐官ら日米の関係者約20人が参加し、1時間弱続いた。首相は、中国が発射した弾道ミサイルが日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したことについて「中国側の行動は地域及び国際社会の平和と安定に深刻な影響を与えるものであり、軍事訓練の即刻中止を求めた」と日本側の対応を説明した。

岸田首相は朝食会後に首相官邸で記者団に対し、「台湾海峡の平和と安定を維持するため、引き続き日米で緊密に連携していくことを確認した」と述べた。

ペロシ氏はその後、衆院の本会議を傍聴。議長公邸で細田博之議長らとも会談した。

衆参議長、安倍元首相への弔詞朗読 両院本会議で

衆参両院は5日の本会議で、細田博之衆院議長と尾辻秀久参院議長がそれぞれ銃撃事件で死亡した安倍晋三元首相への弔詞を朗読した。細田氏は「世界の平和と繁栄に力をいたし、国民生活の充実と我が国の国際的地位の向上に貢献された。その功績は誠に偉大だ」と哀悼の意をささげ、尾辻氏は「憲政史上最も長きにわたり内閣総理大臣の職責を務め、我が国の民主政治発展のため力を尽くされた」と弔意を表した。

一方、臨時国会では安倍氏への追悼演説は行われなかった。自民党は当初、5日の衆院本会議で行うことを提案。甘利明前幹事長が登壇する調整を進めていたが、金銭授受問題などを抱える甘利氏の人選に与野党から異論が出るなどしたため、提案を撤回。秋の臨時国会以降に先送りした。

衆院本会議で安倍晋三元首相への弔詞を朗読する細田博之衆院議長=5日午後、国会・衆院本会議場

内閣改造と自民役員人事、10日にも着手 首相検討、求心力狙う

岸田文雄首相(自民党総裁)は10日にも、内閣改造と自民党役員人事を行う検討に入った。複数の政府・与党関係者が明らかにした。当初、9月初旬に実施する方針だったが、秋に予定される臨時国会に向けて、体制を早期に一新し、求心力を高めたい考えだ。松野博一官房長官や麻生太郎・党副総裁のほか、茂木敏充幹事長の留任が有力視されている。

首相は8日に党役員会を開催して辞表をとりまとめ、党役員人事の一任を取り付ける。9日には長崎市の平和祈念式典に参列した後、改造・党人事を実施する見通しだ。内閣改造では、7月に参院議員任期を満了し民間人閣僚となった金子原二郎農相と二之湯智国家公安委員長の交代が確実視されている。健康問題を抱える岸信夫防衛相の去就も注目される。

建設工事受注めぐる統計不正、8年間で計34.5兆円過大 国交省

国の基幹統計「建設工事受注動態統計」の不正をめぐり、国土交通省は5日、受注実績を無断で書き換えて二重計上した影響などにより、2013~20年度の同統計が計34.5兆円過大になっていたと公表した。

過大額の内訳は、13年度4.6兆円▽14年度4.1兆円▽15年度5.2兆円▽16年度5.2兆円▽17年度4.3兆円▽18年度5.1兆円▽19年度3.2兆円▽20年度2.8兆円。国交省が設置した有識者の検討会議が今年5月に示した過大額の計算方法を使って、同省が計算した。

今回の不正は、朝日新聞が昨年12月に報じて発覚。数カ月分の受注実績を合算し、1カ月分の受注実績かのようにするデータの無断書き換えが行われていた。計算ルールが変更された13~20年度の8年間は受注実績の二重計上が生じ、統計が過大になっていた。

また、二重計上とは別に、統計の計算の誤りがあったことも発覚。この誤りは統計の金額を下ぶれさせるもので、国交省は今回、この誤りの影響と二重計上の影響をふまえて計算を行った。

同統計は、国内総生産(GDP)の算出にも使われる「建設総合統計」のもとになっており、この統計の過大額は、年度ごとに0.1兆円~0.3兆円だった。国はGDPへの影響も調査するとしている。

統計不正の経緯と今後の見通し

西日本・北陸中心に大雨続く 滋賀や福井で河川氾濫、土砂災害も

前線や本州上空の寒気の影響で、西日本や北陸を中心に5日も各地で大雨が降り、滋賀県や福井県で河川の氾濫が相次いだ。3日からの大雨により、安否不明者2人、負傷者3人、9県で計約1100棟の住宅被害が確認されている。

国土交通省によると、3日からの大雨で山形や滋賀など9県で52河川が氾濫。がけ崩れなど土砂災害は6県で22件発生した。

滋賀県長浜市では高時川が氾濫。福井県南越前町では日野川と支流の鹿蒜(かひる)川の合流地点付近で氾濫が発生した。いずれも複数の家屋が浸水し、南越前町では住民約100人が一時取り残された。福井県は5日午後、陸上自衛隊に災害派遣を要請した。

福井県によると、南越前町の氾濫は本流の水位が上がり、合流を遮られた支流から水があふれる「バックウオーター現象」が起きたとみられる。降り始めからの総雨量は南越前町で426.5ミリ、長浜市で164.5ミリを記録。南越前町では8月1カ月の平均雨量の2倍を超える雨が降った。

氾濫した高時川=滋賀県長浜市で2022年8月5日午前10時47分

自宅療養143万8105人、3週連続で最多 新型コロナ

厚生労働省は5日、新型コロナウイルス感染による全国の自宅療養者数が143万8105人(3日現在)だったと発表した。感染「第7波」の拡大が続いており、3週連続で過去最多を更新した。前週(7月27日現在)は109万8671人、「第6波」のピークは57万7765人(2月16日現在)だった。

都道府県別で最も多かったのは東京都で19万2689人。大阪府15万3865人、神奈川県10万1936人と続いた。療養先が決まらない「療養先調整中」は31万9653人。このうち、入院が必要なのに受け入れ先が決まっていない人は2849人だった。

国内感染、新たに23万3767人 4日連続20万人超、東京3万7767人

国内では5日、新たに23万3767人の新型コロナウイルス感染が確認された。1日当たりの新規感染者は4日連続で20万人を超え、3日(約24万9800人)、4日(約23万8700人)に次いで3番目の多さとなった。重症者は前日比40人増の556人、死者は214人だった。

新規感染者は北海道、茨城、埼玉、新潟、岡山の5道県で過去最多を更新した。

東京で新たに3万7767人感染 前週比953人増 新型コロナ
東京都は5日、新型コロナウイルスの感染者が新たに3万7767人確認されたと発表した。前週金曜日(3万6814人)から953人増加した。新たに21人の死亡も確認された。

【1年前の今日の出来事】 2021年8月5日