2021年11月15日

GDP年率換算3%減、市場予測大幅に下回る 21年7~9月期
内閣府が15日発表した2021年7~9月期の国内総生産(GDP、季節調整値)の速報値は、物価変動を除いた実質で前期比0.8%減、この状態が1年続いた場合の年率換算では3.0%減と、2四半期ぶりのマイナス成長となった。新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言に加え、部品供給網の混乱に伴う自動車の減産が響き、事前の市場予想(前期比0.2%減)を大幅に下回った。

GDPの内訳をみると、主力の個人消費前期比1.1%減と2四半期ぶりに減少に転じた。半導体の供給不足や、東南アジアの部品工場の操業停止で自動車の生産が減少。その影響で自動車販売が落ち込んだことが響いた。また、緊急事態宣言による外出自粛で外食などのサービス業も低迷した。

設備投資も、運輸業で減産により業務用の自動車が買えなかったことなどもあり、3.8%減と2四半期ぶりに減少した。

公共投資1.5%減少

政府支出は、国費で負担している新型コロナのワクチン接種が本格化したため、1.1%増と2四半期連続で増加した。

輸出も、自動車減産の影響で2.1%減と5四半期ぶりのマイナスとなった。携帯電話などの輸入減で、輸出から輸入を差し引いた「外需」は成長率を0.1ポイント押し上げたが、内需の落ち込みをカバーできなかった。

景気実感に近いとされる名目GDPは前期比0.6%減、年率換算では2.5%減だった。

米の鉄鋼・アルミ追加関税 日米が撤廃に向けた協議へ 担当相合意
萩生田光一経済産業相は15日、レモンド米商務長官と東京都内で会談し、米国が日本から輸入する鉄鋼とアルミニウムに課している追加関税の撤廃に向けて協議していくことで合意した。

米国はトランプ前政権下の2018年3月、鉄鋼・アルミ製品の輸入増が「安全保障上の脅威」になっているとし、米通商拡大法232条に基づき、日本など各国から輸入する鉄鋼とアルミにそれぞれ25%、10%の追加関税を課した。

同盟国との連携で対中包囲網の形成を目指す米国は既に欧州連合(EU)とも貿易摩擦の緩和で合意している。経済分野で中国に対抗していくため、追加関税の撤廃によって日本との協力関係もさらに強化していく方針。日米は同日、具体的な協力体制のあり方を協議する「日米商務・産業パートナーシップ」を設立することでも合意した。

知事へ意見照会、審議開始 区割り審 10増10減案
衆院選挙区画定審議会(区割り審、川人貞史会長)は15日、衆院選挙区定数の「10増10減」を反映した新たな区割り案の策定に向け、都道府県知事への照会内容の審議を開始した。月内に公表される令和2年国勢調査確定値を踏まえ、来年6月までに改定案を岸田文雄首相に勧告する。

区割り審は、新たな議席配分方法「アダムズ方式」に基づいて、選挙区の区割り改定案を検討している。東京5増、神奈川2増、埼玉、千葉、愛知各1増となる一方、宮城、福島、新潟、滋賀、和歌山、岡山、広島、山口、愛媛、長崎の10県は各1減となる。

教員免許更新制、来年度末に廃止 新たな研修制度創設、中教審部会
教員研修の在り方を議論する中教審の特別部会は15日、教員免許に10年の期限を設けている教員免許更新制を廃止するとの審議まとめを了承した。デジタル化の進展など社会環境が大きく変わる中、10年に1度の更新講習を義務付ける現行制度では不十分だとして「発展的に解消する」と提言し、新たな研修制度の創設を求めた。文部科学省は教育職員免許法の改正案を来年の通常国会に提出し、2022年度末での廃止を目指す。

田植え1回、収穫2度、量3倍 温暖化を逆手「再生二期作」
1回の田植えで2度収穫――。稲刈りの後、残った株から伸びた稲を再び刈り取る「再生二期作」に注目が集まっている。地球温暖化が進めば、稲作が可能な期間は長くなる。農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は実験で、通常と比べ3倍近い収穫量を実現した。輸出や業務用を低コストで生産する手法として期待が高まる。稲は収穫後、刈り株から再び芽が出る。この芽を育てれば2度目の収穫ができるが、田植えから最後の稲刈りまで暖かい気温が続くことが必要。現在、国内で取り組む農家はほとんどいない。