建設アスベスト 国と企業の責任認める、最高裁が初判決
建設現場で建材に含まれるアスベスト(石綿)を吸い、肺がんや中皮腫などを発症したとして、元労働者や遺族らが国や建材メーカーに損害賠償を求めた4件の訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)は17日、国の対応は違法だったとして賠償責任を認めた。メーカーの責任については被害者の作業内容や期間などを踏まえて個別に審理する必要があるとした上で一部を認めた。平成20年以降、各地で集団訴訟が起こされ、弁護団によると今年4月時点の原告は計約1200人。全国で起こされた「建設アスベスト訴訟」の最高裁判決は初めてで、責任の範囲と対象について統一判断が示されたことで、労働者らの救済が一気に前進しそうだ。
判決が最も重視したのは、国とメーカーが経済発展を優先するあまり、健康への影響を過小評価した点だ。石綿の危険性は1960年代には世界で指摘され始め、欧州では80年代以降、規制が進められた。しかし、日本では安価で耐火性に優れた石綿は、断熱材として広く建材に使われた。建設現場では大工や左官、電気工など複数の職種が混在。作業員の雇用形態がさまざまだったこともあり、現場の事業主やメーカーが積極的に対策に乗り出すことはなかった。建材には石綿を含んでいるとの表示すらなく、多くの作業員が危険性を意識しないまま石綿を吸い込んでいた。
スリランカ人女性死亡 名古屋入管局長と遺族が面会 映像開示せず
収容先の名古屋出入国在留管理局(名古屋市)で3月に亡くなったスリランカ女性、ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)の遺族が17日、名古屋入管の佐野豪俊局長と面会した。遺族はウィシュマさんが死亡した居室を視察したが、強く求めていたビデオ映像の公開は保安上の理由から入管側が拒否。遺族らは「十分な説明がなされなかった」と憤った。
ウィシュマさんが亡くなった居室は遺族と幼なじみの4人に限り公開。ワユミさんは「小さな部屋で動物の部屋みたいだった。こうした部屋では精神的にうつ病になるのも当たり前だ」と憤った。ポールニマさんは入管側の説明について「うそをたくさんついていて、逃げているような印象だった」と語った。
一方、入管側は、国会議員や弁護士の居室視察を保安上の理由から拒否。同行した福島瑞穂参院議員は「入管法を国会で議論している時に、誠実に向き合わないことは問題だ。何を隠そうとしているのだろうか」と話した。
内閣支持33%に急落 コロナ対応に不満 朝日世論調査
朝日新聞社は15、16日に全国世論調査(電話)を実施した。菅内閣の支持率は33%(前回4月は40%)に下がり、昨年9月の発足以来、最低タイとなった。不支持率は47%(同39%)で、支持を大きく上回った。政府の新型コロナウイルスへの対応を「評価する」は23%(同29%)にとどまり、「評価しない」は67%(同61%)に上った。
五輪「中止」43%、「再延期」40% 朝日世論調査
15、16日に朝日新聞社が実施した全国世論調査(電話)で、東京五輪・パラリンピックの開催をどうするのがよいかを3択で聞くと、「中止」が最も多く43%、「再び延期」が40%、「今夏に開催」は14%にとどまった。4月調査と比べ、「中止」が大きく増え、「今夏」は半減した。
有森裕子さんが岡山の聖火ランナー辞退 「不安与えてはいけない」
岡山県は17日、東京オリンピックの聖火リレーで、19日に岡山市内を走る予定だった五輪女子マラソン2大会連続メダリストの有森裕子さん(54)が、ランナーを辞退したと発表した。12日に県に連絡があり、理由として「感染拡大地域(の東京)から移動することで、県民に不安を与えてはいけない」と伝えたという。有森さんは同市出身。
JAL、成田からの韓国路線なくなる LCCとの競争激しく
日本航空は成田―韓国・釜山を7月から運休する。格安航空会社(LCC)との競争が激しく、新型コロナウイルスの収束後も高収益を上げるのは難しいと判断した。成田―ソウルも3年前から運休しており、1978年5月の空港開港以降、日航が運航を続けてきた成田発着の韓国路線はなくなる。釜山線には大韓航空、韓国のLCCのチェジュ航空やエアプサンも運航し、競争が激しくなっていた。