はじめに:『神と科学 世界は「何」を信じてきたのか』(日経BOOKプラス 2025.8.25)
ミシェル=イヴ・ボロレ
オリヴィエ・ボナシー
その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日はミシェル=イヴ・ボロレ、オリヴィエ・ボナシー(著)、鳥取絹子(訳)の『 神と科学 世界は「何」を信じてきたのか 』。「まえがき」と「親愛なる読者のみなさんへ」をお届けします。
【まえがき】
「科学」と「神の存在」が対立するという問題に情熱を傾けてきた私たちは、かなり以前からずっと、このテーマに関して、読むに値する本を探していた。しかしそのような本は見つからなかった。私たちがこの仕事に身を投じ、本書を執筆したのはそれが理由である。
私たちはこの仕事に、きわめて厳格に取り組んできた。心がけたのは、合理的な方向性を見失わずに進めることと、こうした考察につきものの2つの障壁を避けることだった。
1つは、現代の発見を拒否し、空想的な信仰にのめり込む創造論[* 宇宙の起源を創造神に求める考え方]者の壁、もう1つは、最新の科学の進歩による結果を考慮しようとしない唯物論(ゆいぶつろん)[* すべてが物質からなるという考え方]者の壁である。
実に多くの科学的な発見が、20世紀前半までに私たちにこびりついていた「古い確信」を揺るがしている。少し前までは、「神を信じること」と「科学」は両立しないように見えた。それがいまや、かつての想定を超えて、科学は神の味方になったように感じられる。一方で、唯物論者の信じるものは、日を追うごとに大きくぐらついているようだ。私たちが調査しているのは、まさにこの点だ。
本書は、誰でも読めるよう、正確さには十分に留意した上で、わかりやすい言葉で書いている。
また構成上、各章は独立しており、ビュッフェのように自由に好みに応じて、どこからでも読むことができるだろう。もし難解で退屈そうだと感じたら、飛ばすか、あとで戻ってくるような読み方もできる。
革命の夜明けのような歴史をわかりやすくするために、私たちは最善を尽くしたつもりである。あとはみなさんの自由な評価にお任せしたい。
親愛なる読者のみなさんへ
本書は専門家20人の協力のもと、3年の月日をかけて行った探求の成果である。
目的はユニークだ。みなさんに、創造神が存在するかどうかを考えるために必要な要素を提供することである。
私たちは、みなさんが本書を読み終えたとき、自身がもっとも合理的だと思えることを、自由に、見識を持って信じる決断ができるだけの情報を手にしていることを願っている。私たちが提供するのはファクト(事実)だ。そう、事実以外の何ものでもない。
本書が、本質的な議論の道筋を開くきっかけになれば幸いだ。
ミシェル=イヴ・ボロレ
オリヴィエ・ボナシー
【目次】






著者紹介
ミシェル=イヴ・ボロレ
ITエンジニア。理学修士、パリ・ドフィーヌ大学ビジネス経営学博士号・経営管理博士号を取得。1981年から1990年まで兄とともにボロレ・グループの経営に参画し、産業部門を統括した。1990年には、機械産業を中核とするフランス・エソールという自社グループを設立。…詳細を見る
オリヴィエ・ボナシー
エコール・ポリテクニーク(理工科学校X86)、パリ経営大学院およびパリ・カトリック学院(神学学士)卒業。複数の会社を設立した起業家。20歳まで信仰心を持っていなかったが、現在では、信仰の合理性に関するさまざまなテーマについて20冊に及ぶ書籍、ビデオ、舞台、脚本、記事、ニュースレター、インターネットのサイト記事を執筆している。

神と科学 世界は「何」を信じてきたのか
価格 3,080円(税込)
ISBN 9784296001033
発行日 2025年08月25日
著者名 ミシェル=イヴ・ボロレ、オリヴィエ・ボナシー(著)、鳥取絹子 (訳)
発行元 日経BP
ページ数 560ページ
判型 A5