維新議員 旧文通費で、洗濯機・布団の購入、事務所家賃に支出 問題はないのか!

維新議員 旧文通費で、洗濯機・布団・事務所家賃を支出 政治・経済

旧文通費で洗濯機や布団、事務所家賃 使途基準あいまいなまま(毎日新聞 2022/5/27 05:00 最終更新 5/27 05:00)

国会議員が月額100万円を受け取る「調査研究広報滞在費」(旧文書通信交通滞在費)は、日割り支給が可能となったが、使途の基準はあいまいなままだ。使途を所属議員ごとに公開している日本維新の会も中身をチェックしてみると、冷蔵庫や洗濯機といった生活用品を購入しているケースがある。問題はないのだろうか。

維新は党のホームページで、2015年10月~21年12月の所属議員の旧文通費の使途を、領収書とともに公開している。「政治資金の流れを透明化し、国民への説明責任を果たすため」と公開の理由を記している。

前回衆院選後の21年11月、12月分を見ると、「事務所家賃25万円」「議員宿舎賃料13万円」「政党支部へ繰入71万円」といった記述が多い。その中に、家電や寝具の購入が見つかった。衆院議員6人に適否について質問状を送ると、全員から回答があった。

遠藤良太氏は、冷蔵庫、電子レンジ、コーヒーメーカー(計約3万9000円)を購入していた。同氏事務所は購入理由について「議員会館で議員やスタッフが使用している。党の内規に従って計上した」と回答した。

守島正氏は、洗濯機(約2万3000円)、テレビとテレビ台(計約5万7000円)、寝具(約15万4000円)を購入した。事務所は「東京での生活のためのもの。使用の適否に関しては歳費法などに基づいて判断している」と答えた。

岩谷良平氏は、枕や布団などの寝具(計約3万3000円)を購入。理由は「東京滞在のため議員宿舎で使用している。滞在に関する費用として『滞在費』に該当すると考えている」と説明した。

池畑浩太朗氏は、冷蔵庫(約3万6000円)を購入し、同氏事務所は「来客用として議員会館で使用している」回答した。奥下剛光氏は加湿器(約1万9000円)一谷勇一郎氏は空気清浄機(金額不明)を購入したが、両氏の事務所はいずれも「新型コロナウイルスなど感染症対策の一環で事務所に導入した」などと答えた。

旧文通費の目的は「公の書類を発送」「公の性質を有する通信」などと規定されていた。だが、与野党の議員や秘書によると、私設秘書の給与、事務所経費など、さまざまなものに支出され、使途の実態は名称とかけ離れていた。

21年10月31日投開票の衆院選の後、在職1日で10月分全額の100万円が支給されたことを維新議員が問題視し、制度改正の機運が高まった。与野党協議を経て、今年4月に日割り支給を認める改正歳費法が成立。名称が変わり、使い道も「調査研究」「広報」「国民との交流」「滞在」などに対象が広がった。それでも使途の基準はあいまいで公開義務もない。歳費に加えて「第2の財布」となっている状況が続く。

政治資金の問題に詳しい神戸学院大の上脇博之教授(憲法学)は「旧文通費はあくまで立法活動のために使用が制限され、議員個人の政治活動に使われるべきものではない」と指摘する。維新議員が家電などを購入したことについては「政治活動とは全く言えず、単なる生活用品を税金で購入している。税金の重みが分かっていない。維新は内規で、旧文通費を『滞在費』に充てることを認めているが、一般企業では家電や家具の購入に経費は使用できないはずだ。国民からの理解は得られない」と批判した。自民党ベテラン議員も「家電まで買う議員がいるとは思わなかった」と話す。

維新は今年1月から、独自に使途の制限を始めた。飲食費や遊興費、親族の人件費、自宅兼用の事務所賃料、選挙関連費用などには使うことができない。「マネーロンダリング」と批判された、議員本人が代表を務める政治団体への旧文通費の寄付も禁止した。一方で、家電や寝具への使用は認めている。秘書人件費、事務所賃料などにも使用できる。1月以降の使途はまだ公開していない。

維新以外では、共産党は国会議員団が共同管理しているという理由で、議員ごとではなく党全体として使途を公開している。他の党は使途を全く公開しておらず、維新のような問題点すらわからない。

与野党6党は、使ってはいけない項目を明示する「ネガティブリスト」の作成を始めた。使途公開義務化についても協議しているが、慎重論は根強く、実現の見通しは立っていない。