4年前の石破茂インタビューを再読すると…同じ人間の言葉とは到底思えない

インタビューに答える石破茂 政治・経済

4年前の石破茂インタビューを再読すると…同じ人間の言葉とは到底思えない(日刊ゲンダイ 公開日:2024/10/13 06:00 更新日:2024/10/13 06:00)

総裁選に出た9人の中で一番選んではいけなかったのは石破茂だった。“変節漢”とは石破のような人間のことをいうのだ。

小泉進次郎は週刊文春(10月10日号)で阿川佐和子に、総裁選で敗れた悔しさをこう語っている。

「当日、帰宅して『パパは負けたよ』と(子どもたちに=筆者注)報告したんです。涙を見せながら『人生はね、負けるときもあるんだよ』と言って、そんな父親の姿を見て、少しでも子どもの教育に繋がればいいなと思ったんですよ」

進次郎の最大の敗因は「総理になればすぐに解散をして国民に信を問う」と言ったことだった。石破はそれに反駁(はんばく)して党員票を彼からかすめ取った。進次郎は子どもたちに「政治の世界では正直者がバカを見るんだよ」と付け加えなくてはいけない。

しかし、同じ人間が一夜にしてあれほど変われるものだろうか。呆れるというより感心している。

私は2020年4月に石破にインタビューしている。その中で中村喜四郎(前衆議院議員)の「安倍政権の一番の貢献は、国民に政治を諦めさせたことだ」という言葉を石破に紹介した。

石破は、「中村先生がおっしゃるように、国民に政治を諦めさせたなんてことは、我々政治家としては本当に申し訳ないことで、やっぱり政治は信じられるというのを取り戻していかないといけません」(月刊誌「エルネオス」)。

また、上司から取材を妨害され、NHK記者の座をなげうって、国有地払い下げ文書の改ざんを強制されて自死した赤木俊夫の遺書をスクープした、相澤冬樹のジャーナリスト魂の話になり、石破は、「私たちも同じで、『大臣にしてやるから自分の考えを曲げろ』といわれたら、それならならないといえるのが政治家魂だと、私は思っているものですから」(同)。

今の石破を見て、読み返すと、同じ人間の言葉とは到底思えない。あんたに猫なで声で「国民の皆さま」なんて言われたくない。「納得と共感」ではなく「国民を裏切り不信感だらけの政治」ではないか。

週刊誌は相次いで選挙予測特集を組み、軒並み「自民党大幅議席減」と報じている。惨敗すれば戦後最速の「総理辞任」もあり得る。

リーダーシップも国民に寄り添う気もない石破だが、文春によれば“寄り添った”女性の噂はいくつかあったらしい。銀座のクラブのママに入れ込み、通いつめていたという。美人と誉れの高い秘書・吉村麻央との“関係”は、永田町ではつとに有名らしい。

20年以上政策秘書を務め、今回石破が総理になったことで総理秘書官に抜擢された。口さがない永田町スズメはかまびすしいようだが、石破本人は文春の直撃に、「(男女関係など=筆者注)全くない。二十何年ですよ? 仮に何かあったとしたら、それは分かるって」と取り合わない。

だが、新ファーストレディーになった妻の佳子は、少々ニュアンスが違う。

──秘書の吉村氏が愛人だと書かれたこともある。

「早い話、書かれることは気持ちよくないですよ。ただ、他の先生方でも、女性スタッフと一緒に行動していると週刊誌に書かれてしまうでしょ? もちろん石破も気をつける必要はある」

そうは答えたが、

──疑ったことはない?

「疑ったことは……疑えばキリがないんじゃない?」

そして記者にこう言ったという。

「逆に何かおかしいことあったら教えてね。『ちょっと奥さん、危ないですよ! すぐに東京に来てください』って(笑)」

最後に、石破は憲法9条2項を削除し、自衛隊を「国防軍」と書き換え、「徴兵制導入」に積極的であることも忘れてはなるまい。 (文中敬称略)

(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)